プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「そこに“油断”はなかったのか?」巨人で76人の大規模クラスター発生! 内野手はほぼ全滅…無症状のコロナ陽性者への対応も考えるべき?
posted2022/07/26 11:01
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kiichi Matsumoto
5日間で選手47人を含む総勢76人の新型コロナウイルス陽性者を出した巨人。いつ、どこで、だれが罹患してもおかしくない第7波の猛威ではある。ただ、これほど大規模なクラスターを発生させたことには、感染管理をするフロントのどこかに“油断”があったのではないかという疑念が走るのは仕方ないことかもしれない。
一気に一軍の主力を含む40人の感染が判明したのは7月20日だった。翌21日には22日から予定されていた中日3連戦の延期が決定したが、この決定に一部のファンから不満の声があがったのは、同じようにチームクラスターが発生したヤクルトの前例(中止は2試合のみ)と比較してのことだ。
内野手は”全滅”に近い状態に
しかし今回の巨人のケースはあまりに大量の陽性者が出て、ファームの選手を動員してもチーム編成ができないという事情があった。
特に支配下選手登録されている内野手は“全滅”に近い状態となってしまった。
選手登録されている17人の内野手の中で、とりあえず中日戦が中止となった時点で感染を免れていたのは5人だけだった。しかもそのうち2人は6月に右手の血行障害改善手術を受けた若林晃弘内野手と仙腸関節炎で登録抹消中の坂本勇人内野手である。まともな状態の内野手は吉川尚輝内野手と廣岡大志内野手に菊田拡和内野手の3人だけで、しかも菊田は23日に陽性判定を受けている。
要は内野の4つのポジションを埋めることができないチーム状態になってしまった訳だ。これで試合をするとなると、育成選手を臨時に支配下登録して一軍の試合に出場できるようにルールを変更するか、あるいは他のポジションの選手を内野で使うしか方法はなくなる。いずれもチーム編成という面では現実的ではない選択で、3試合中止という決定は仕方ないものだったと言えるだろう。
さらに言えばこのままオールスターゲーム明けのペナントレース再開時点で、登録できる内野手が5人を切るような状態ならば、その後の試合の開催も危ぶまれることになる。
そこで改めて必要性がクローズアップされているのが、コロナ禍での試合実施のためのルール作りだ。