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「トミの貢献度は極めて高かっただけに」アーセナルも悩む“冨安健洋23歳のケガ再発問題” 離脱が長引く5つの要因
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2022/04/13 11:02
アーセナル移籍後、高いクオリティを見せていた冨安健洋。ただ後半戦は負傷が続き、その雄姿をピッチで見せられていない
19日間の離脱期間を挟み、1月20日のリーグ杯準決勝・第2戦のリバプール戦で復帰したが、この試合で右ふくらはぎを再び痛めてしまった。アーセナルのミケル・アルテタ監督は、次のように説明した。
「トミは負傷した。この試合で彼を起用したくなかったが、無理をしてもらうしかなかった。彼もこの状況を理解し、『試合に出る』と言ってくれた。チーム練習を一度もこなしていないが、それでも出場し仕事をこなしてくれた。
この試合で右サイドバックの選手が誰もいなかった。出場を求めて復帰を急ぎ、フル出場したが、また痛めてしまった。できるだけ早く復帰できるよう、治療に専念する必要がある」
同じ箇所の負傷が続き、指揮官も復帰に慎重な姿勢に
ここから冨安は約1カ月ピッチを離れ、2月19日のブレントフォード戦でようやくベンチメンバーに復帰した。アルテタ監督が「完璧に回復した」と語るなど、実戦復帰に近づいたように見えた。しかし、その後の練習で今度は左ふくらはぎを負傷。右足をかばいながらプレーしていたのか、反対の左側を痛めてしまった。
同じ箇所を繰り返し負傷していることから、ようやくアルテタ監督も冨安の復帰に慎重な姿勢を見せるようになった。この状況が、今も続いているというわけだ。
以前、冨安はインタビューで「監督から指示を受ければ、FWでもプレーする」と語っていた。出場を求められれば無理をしてでもピッチに立つ真面目な性格の持ち主だ。ただ、最終的に出場の有無を決断するのは、あくまでも監督である。今回ふくらはぎの故障が長引いているのは、アルテタ監督の責任も大きいように思う。
気になるのは冨安の過密スケジュール
もうひとつ気になったのは、冨安の過密スケジュールである。
イタリアのボローニャでプレーした昨シーズン、冨安はふくらはぎのケガで試合を欠場しながら、主力としてフル稼働した。
そして5月23日にシーズンが終わると、冨安は東京五輪の準備に突入する。右膝痛で6月のU-24代表の活動は辞退したが、7月5日から五輪代表の事前合宿に参加し、2つの強化試合に出場。五輪直前に左足首を痛めたものの、グループステージの第3節と準々決勝、3位決定戦の3試合に出場し、厳しいスケジュールを戦い抜いた。
それにもかかわらず、この激戦の後に十分な休暇を取ってない。イタリアメディアによると、3位決定戦から約2週間後の8月20日にはボローニャの練習に合流。同28日のアタランタ戦で、途中出場ながらピッチに立った。まさに、目のまわる忙しさだ。