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「選手たちがひとつの怪物を作り出した」トルシエが語る森保ジャパンと日韓W杯代表に共通する“強み”とは「チームとしては、スペインにも勝てる」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2022/04/03 17:05

「選手たちがひとつの怪物を作り出した」トルシエが語る森保ジャパンと日韓W杯代表に共通する“強み”とは「チームとしては、スペインにも勝てる」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

日本代表を高く評価したトルシエが、とりわけ素晴らしいと評価したのは伊東だった

――それでも印象に残った選手は何人かいるのではないですか?

「まず伊東だ。彼は個の力で違いが作り出せる素晴らしい選手だ。南野も大きな進歩を示した。ウィングというよりも中央でボールによく絡み、常に的確に動いてチャンスを作り出す。オーストラリア戦は2得点決めていてもおかしくなかった。それから中盤の選手たちも印象に残った。守田は攻守に素晴らしく田中も休むことなく常に動いている。

 ただ、繰り返すが、そうした個々の選手以上に印象深いのは、このチームが持つコレクティブな力だ。全員で攻撃し全員で守る。その規律が素晴らしいし、連帯感に溢れている。もちろん全員が優れた戦士だが、交代選手が入ってもチームは同じクオリティを維持し続けている。穴がないしパフォーマンスが落ちる時間帯もない。

 そうした統一感や連帯意識は私の時代からの特徴でもあるが、それが日本の最大の特徴でもある。02年当時私が選手たちに言っていたのは、『このチーム(当時の日本代表)にはユベントスやバルセロナ、レアル・マドリーでプレーする選手はいない。イタリアやドイツ、イングランドでプレーする選手もいない。だがチームとしては、イングランドやスペイン、イタリアにも勝つことができる』ということだった。それが日本の力であると」

日本社会と通底する代表の哲学

――三笘や田中、守田、山根、谷口、旗手……このチームは選手の多くが川崎フロンターレから出ています。バルセロナのようにパスを繋ぐスタイルだったフロンターレの選手は、代表には馴染みにくいのではと以前は思っていましたが、いまでは彼らなしではチームが成り立ちません。

「もちろん選手は監督のチーム哲学に合わせてプレーする。だがフロンターレはこの5年間で4度チャンピオンになったチームで、選手は勝利を存分に味わっている。ただ、日本代表は自信に溢れているから、そこに(他の選手との)大きな違いはない。

 私が思うに日本代表はしっかりとプレーができるチームだ。日本の選手は技術的に優れていて、私から見れば日本のクラブやそれぞれのサッカー哲学に大きな違いはない。とりわけマネジメントはそうで、森保もそんな日本のいち指導者だ。われわれが今日の日本代表に見るのは日本サッカーに通底するひとつの哲学だ。それは技術や組織、規律、コミュニケーション、連帯意識、統一感などをベースにした日本のサッカーであり、日本社会の基本哲学ともいえるものだ」

――そうなのかも知れません。メルシー、フィリップ。

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