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三笘薫は「食」にもストイック? ベルギー生活を支える専属栄養士が驚く“細かい質問”…「苦手なセロリもきちんと食べる、白米は10g単位で」
posted2022/04/04 11:04
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Masaki Fujioka/JMPA
サッカー日本代表・三笘薫には、2つの目標がある。
1つは日本代表としてW杯に出場すること。そして、もう1つはプレミアリーグで活躍することだ。
昨夏、川崎フロンターレからプレミアリーグのブライトンに完全移籍を果たすと、直後に提携クラブであるベルギー1部のユニオン・サン=ジロワーズに期限付き移籍で加入。Jリーグを席巻した高速ドリブルはベルギーの地でも遺憾無く発揮され、公式戦22試合出場で6ゴール4アシスト(4月4日時点)と活躍中だ。
さらに、カタールW杯アジア最終予選のオーストラリア戦では、わずか10分という短い時間の出場ながら、得意のドリブルが炸裂して2ゴールをマーク。W杯出場を決める働きで強烈な存在感を見せつけると、最終戦のベトナム戦ではスタメンフル出場を果たした。
そんな順調なステップを踏む三笘が今、重要視しているのが「栄養」だ。
海外挑戦を機に、専属の栄養士を採用
今やアスリートにとって「食事」はトレーニングと同等の重要度を持つと言っても過言ではない。世界的プロテニスプレーヤーであるノバク・ジョコビッチはグルテンフリー(小麦粉などに含まれるタンパク質=グルテンを抜くことで腸内環境を整える)の食事に変えたことで不調を脱し、サッカー界でも長友佑都がファットアダプト(アスリートを対象とした、血糖値変動によるパフォーマンス低下を防ぐための糖質制限食)を取り入れることで、欧州の厳しい環境でも戦い抜ける身体を手に入れた。
三笘もまた海外挑戦を機に、新たなパートナーを招き入れた。管理栄養士の緒方あゆさんは、ベルギーで生活する三笘の3食全てのメニューを考案し、実際に調理して提供しているという。
緒方さんが驚いたのが、三笘の研究熱心な姿勢だ。もともと、川崎U-18からトップ昇格を断って筑波大に進学したのも「より科学的にサッカーや自分を把握して学ぶため」。大学時代から自分のフィジカル面や技術面を客観視し、それを言語化することでさまざまな専門知識と照らし合わせてきた。当時から「今の自分に必要なものは何か」を探求する熱量は凄まじかった。
食事においてもこだわりは強い。ベルギーでの食事は緒方さんと栄養・調理のアシスタント、パーソナルトレーナー、そして三笘本人の4人で摂っているというが、その度に「この栄養素はどういう働きをするもので、いつ、どれくらいの量を摂取すればいい?」と質問は細部に渡るという。食事前には「まだ間に合うならコラーゲン系の養素を入れて欲しい」とお願いしてくることもあった。