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「19歳の藤井聡太五冠」や羽生善治九段の“偉大な連続A級29期”に胸キュン… 観る将マンガ家が描く《2月の将棋ハイライト》
posted2022/03/01 17:00
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by
Junsei Chida(illustration)
2月は北京冬季五輪で沸き、Jリーグが開幕するなどスポーツ界は大イベントやシーズンインで盛り上がっていますが……将棋界は寒かった冬も熱戦の連続でした。シーズンオフという概念がなく、1年じゅう盤面と向き合う棋士の方々には、頭が下がるばかりです。28日しかないこの月も、やはり様々な出来事がありました。
1)王将奪取。19歳の藤井聡太五冠に「限界」はないのか
11、12日に東京・立川で行われた王将戦第4局は、矢倉志向の渡辺明王将に対して、藤井竜王は雁木という戦型を選択。2021年7月の棋聖戦第3局と同じ展開となる中で、渡辺王将が37手目に研究手であるだろう“銀捨て”を選びました。
勝利への執念を感じさせる一方で、相変わらず2人のとてつもなく速い決断の連続で対局が進んでいったわけですが……最終的には114手で藤井竜王が勝利。4勝0敗で王将を奪取しました。
2020年の棋聖と王位、2021年の叡王と竜王、そして2022年初頭に入っての王将位です。2日制で負けることはほぼなく(様々な棋士の方の解説を聞くと、その強さを実感します)、毎年のようにタイトルを獲得し、さらには複数位を獲得している……と考えると、素人目には「“八冠”も時間の問題なのでは」と思ってしまうほど、その強さには畏怖の念を感じています。
「し、しんりんげんかい?」
将棋はもちろん、注目したいのは「藤井五冠語録」です。
注目を集めたのは、王将獲得後の翌日に行われた会見でのことです。「富士山で言えば今、何合目にいると思いますか?」という質問に対して、藤井五冠は「まだ森林限界の手前です」とおっしゃっていました。
「し、しんりんげんかい?」
夫婦ともどもポカンとした顔になって、即意味を調べました。
「高木が生育できず、森林の生育成立が不可能となる限界地点。原因としては高山だと低温が挙げられる」
なるほど。よくある「七合目」とかではない、さらにはまさか日本語の意味まで勉強させてくれるとは(笑)。そして藤井五冠は「現状では“草木が生えていない”地点を目指そうとしているのだろうか?」という思いもふともたげました。なんという向上心……。