梶原　はい。「筑波大学の教授になること」です。もっと勉強して社会の役に立つような研究成果を残したいという夢があります。まずはエリミネーション（全4種目あるオムニアムのうちの1種目）に関する戦術の分析、統計学を使っての研究。AIなども活用したいですね。日本の自転車競技が世界に通用するような「自転車競技の教科書を作りたい」という思いもあります。

　そしてその先に、自転車競技に限らず、多くの人の役に立てるような開発研究をしていければと。これからの時代は、一つの競技内にとどまらず、そこで学んだことを「どう社会に役立てるか」が大切だと思っています。

コーチは“自分”、母がサポート

――自転車の技術指導も有里さんが行っているのですか？

梶原　いえ、自分で練習内容は考えて、母にサポートしてもらっているという関係です。「セルフコーチ」を身に付けたくて筑波大学に入ったので、栄養学、生理学、経済学、スポーツ法学、トレーニング学、コーチング学などすべてのことを学べました。足りないところは自分でも論文や本を読んで勉強してきました。

――次の目標は24年のパリ五輪。ここからもう一ランク上げるためには？

梶原　ヨーロッパでの参加レース数を増やそうと思っています。これまでトラックとロードで出場してきましたが、これからはヨーロッパのチームに入ってロードレースでメダルを獲りたい。その先にパリでの金メダルを目標に置いています。

――日本では敵なしだった梶原選手。場所を変えて再挑戦するのですね。

梶原　女子の平均時速が55キロと、レースがものすごく高速化している中で、常に前に出ていくレース展開になってきました。その中で勝利をつかむためにはスピードを楽に出していき、そこから攻撃できるような戦術をとらなければいけません。ヨーロッパのハードなロードスケジュールの中で100キロ、120キロを100人、150人の中で競い合って勝つ力がなければ、オムニアムで金メダルは獲れないと思っています。

――エリミネーションの強さが梶原さんの持ち味だったと思います。ロードレースに挑戦することでさらに進化を目指すのですね。

梶原　そうですね、今戦えるところで勝ち続けることも難しいですが、それ以上に未知の領域に飛び込んでいって、そこでも戦えるようになることが楽しいし、ワクワクします。常に手が震えるほどの緊張感の中で戦うことが、自分の進化につながると思うので。（前編からつづく）

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「金メダル獲れなくてすみません」五輪銀メダリストが語る日本人アスリートが謝罪する理由「恩返しがしたかったんだろうなって」

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