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女子フィギュア、深夜会見は異様な光景に…ワリエワ欠席で、坂本花織は相次ぐ“ドーピングの質問”に困惑「なんか難しいな…」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2022/02/16 17:50

女子フィギュア、深夜会見は異様な光景に…ワリエワ欠席で、坂本花織は相次ぐ“ドーピングの質問”に困惑「なんか難しいな…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

スポーツ仲裁裁判所(CAS)に五輪個人戦への出場が認められたワリエワ。15日のSPはミスがあったものの、首位で終えている

 女子シングルに限らず、ワリエワが出場したことで授与されないままだった団体戦のメダリストたちも同様だ。ROCが金メダル、アメリカが銀メダル、日本が銅メダルを獲得したものの、こちらも変動する可能性があるからだ。後日、メダリストにはしかるべき場で授与できるよう考慮するというが、いずれもオリンピックの場での授与とは、場所だけでなく心情も同じとはならないだろう。

 坂本花織は、団体戦を終えたあと、こう語っていた。

「(団体戦の)メダルを部屋に飾って、それを毎日見て、個人戦への励みにしたいと思います」

 当然、メダルは坂本のもとにまだ届いていない。それも叶わなかった。こうして、すでに他の選手たちも巻き込まれているのだ。

ロシアが繰り返してきた“ドーピング違反”

 ここで、あらためて、ロシアとドーピングのこれまでを振り返ってみたい。

 ロシアは平昌五輪、東京五輪に続き、国家としては参加できず、出場資格のある個人が参加する形式をとっている。かねてからの組織的なドーピングに対し、WADA(世界アンチ・ドーピング機関)が、2022年12月までの主要国際大会からロシアを除外すると決定したことに由来する。潔白であることを証明できた選手については、個人資格で出場することを認めた。団体競技についても、クリーンである選手で構成する限り、出場することを認めている。

 ただ、クリーンな選手だけが参加できるはずの平昌五輪でも違反者が出ていた。カーリング混合ダブルスの男子選手で、結果的に銅メダル返上に至っている。それのみならず、除外処分を受けて以降も数多くのドーピング違反が発覚している。ドーピングと縁が切れていない実態がそこにある。

 ドーピング違反の発覚が他競技と比べれば圧倒的に少なく、無縁であるように見えるフィギュアスケートでも、ロシアから過去に違反者が出ていた。2000年代に入ってから、ペアで2名、アイスダンスで1名が、最近では、平昌五輪の女子シングルに出場したマリア・ソツコワがドーピング違反を隠すために偽造文書を提出したことで、10年間の資格停止処分をロシア・スケート連盟から科されている。ただソツコワは、処分が発表される前に現役を引退している。そうした背景があっての、今回の問題だ。海外各国のメディアが厳しく追及する要因でもある。

ロシア鬼コーチ・エテリの指導は正しいのか?

 空気を重くしているのは、ワリエワを指導するのがエテリ・トゥトベリーゼコーチであることにも理由があるだろう。今大会でメダルの有力候補とされるROCのほかの2人、アンナ・シェルバコワとアレクサンドラ・トゥルソワのコーチでもあるからだ。同じチームである以上、2人に疑念を向ける記者もいる。

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