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女子フィギュア、深夜会見は異様な光景に…ワリエワ欠席で、坂本花織は相次ぐ“ドーピングの質問”に困惑「なんか難しいな…」
posted2022/02/16 17:50
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
重苦しい空気が立ち込めている。
フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(ROC)が昨年12月のドーピング検査で陽性反応を示したことが発表されて以降、その問題が常につきまとうようになっている。
2月14日には、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が国際オリンピック委員会(IOC)などの申し立てを却下し、ワリエワの五輪出場を認めたが、事態はおさまっていない。
あくまでも「出場を認めた」だけ…五輪後にメダル剥奪も
ここで、いくつかの問い合わせを踏まえ、誤解のないように念のため記すと、CASの裁定は、ドーピング問題がクリアになったことを意味しているのではない。あくまでも法的観点から、出場を認めたに過ぎない。「16歳未満」が保護対象になるという規定が裁定の大きな要因であるとされ、その判断自体にも疑問が投げかけられているが、いずれにせよ、「暫定的」なものだ。
そして、暫定的に出場を認められたことによって、今大会にも大きな影響を与えている。
「団体のメダル授与式はなし」影響は他の選手にも…
IOCは、ワリエワが3位以内に入った場合、試合直後に会場内で行なうフラワーセレモニー、メダルプラザでのメダルセレモニーを実施しないことを発表した。試合後に順位が入れ替わる、すなわちワリエワのメダルをはく奪する事態を想定してのことだ。
さらには、本来はショートプログラム上位24名がフリーに進出できるところを、ワリエワが24位以内となった場合には1人追加して25名をフリーに進めるようにするとした。そして2月15日のショートを終えて、25名が17日のフリーに進むことになった。これも異例の措置である。
セレモニーが実施されないことで、メダルを獲得した選手は、大会の中で祝ってもらう機会を失うことになった。