オリンピックPRESSBACK NUMBER
「マラソン成功の再現性が低い」好タイムが続出しても日本男子マラソンが世界で勝てないのはなぜか?〈大迫傑が現役復帰を表明〉
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2022/02/10 11:04
東京五輪を最後に現役を引退していた大迫傑が、現役復帰を発表した
日本マラソン界のタイムは上がっているが、ワールドランキング(大会のグレード、順位、タイムを考慮したスコアの上位2レース平均)の順位はさほど上位ではない。2月1日時点では大迫傑の11位が最高で、鈴木健吾が18位、吉田祐也(GMOインターネット)が28位。世界大会でメダルを奪いにいくことを考えると、ワールドランキングで上位につけるくらいの実力(タイム、強さ、安定性)が必要になるだろう。
大迫傑の現役復帰は日本のマラソン界を押し上げるか?
2015年の世界リストを見ると、2時間5分切りは2人、2時間7分切りは26人しかいなかった。しかし、コロナ禍の2021年でも世界は2時間5分切りが23人、2時間7分切りが76人もいる。2時間7分台はもはや好タイムとはいえない。マラソンの感覚をアップデートしていかないと世界に置いていかれてしまう。
別府大分毎日マラソンの翌日、解説を務めた大迫さんは「現役復帰」を表明した。自身の公式サイトとSNSにあげた動画では、「パリというのはちょっと期間が短いと思うが、その後のロスも狙えるような準備をやっていけたら」と2028年ロサンゼルス五輪まで見据えていることを明かしている。発言力だけでなく実行力もある大迫さんの復帰は日本マラソン界にとって大きなプラスになるはずだ。
2月27日に大阪マラソン、3月6日には東京マラソンの開催が予定されている。パリ五輪でメダルを本気で狙うには、日本人にとっての好タイムではなく、真の“世界レベル”を目指していく雰囲気を作っていかないといけない。