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大阪国際で話題「男子選手が残り1kmまで先導していいのか?」…マラソン界でも議論が続く“ペースメーカー是非問題”
posted2022/02/06 17:15
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
AFLO
1月30日の大阪国際女子マラソンは松田瑞生(ダイハツ)が大会新&日本歴代5位の2時間20分52秒で“独走V”を飾った。終盤まで一山麻緒(ワコール)が保持する国内女子最高記録(2時間20分29秒)や2時間20分切りを狙えるハイペースで進んだレースは見応えがあった。
一方で男子のペースメーカー3人が残り1kmまで松田を引っ張ったことに“違和感”を持った人もいたようだ。
女子マラソンに男性ペースメーカーを起用する事情
今回はペースメーカーを「3つのグループ」に設定していた。第1集団はマラソンで2時間9~10分台の自己ベストを持つ神野大地(セルソースアスリート)、福田穣(NNランニングチーム)、田中飛鳥(RUNLIFE)の3人が担当。5km16分30秒前後で刻み、レースを作った。
ペースメーカーは“黒子”といえる存在だが、「山の神」と呼ばれた神野は知名度があり、福田は緑色の髪、田中は明るい茶髪。3人はユニフォームも別々で、一般的なペースメーカーよりも“派手”だったことも注目を浴びた要因かもしれない。
そして何よりも女子の大会になぜ男子選手が走っていたのか。そんな素朴な疑問を持った人は少なくないだろう。
そもそもオリンピックや世界選手権、アジア大会などの国際大会を除けば、フルマラソンの女子単独レースは珍しい。一方、日本では大阪国際女子、名古屋国際女子の流れを汲む名古屋ウィメンズというテレビ中継されている女子単独レースが続いている。
通常であれば、大阪国際女子や名古屋ウィメンズは女子選手(主に外国人)がペースメーカーを務めていた。しかし、コロナ禍で外国人選手を招集できなかったこともあり、今回の大阪国際では男子選手をペースメーカーに起用することになったのだ。