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野口みずきの日本新が更新されずに16年…“元祖お家芸”日本のマラソンはなぜ表彰台から遠のいたのか?
posted2021/08/17 11:02
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
JMPA
東京五輪のフィナーレを飾った男子マラソン。大迫傑(Nike)の走りに胸が熱くなった方は多いだろう。
世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が30.5km付近から“本気の走り”に切り替えると、11人いた先頭集団は一気に崩壊。大迫は8番手に振り落とされた。
しかし、ドラマは終わらない。日本のエースは過去のマラソンと同じく、前をじっくりと追いかけた。36km手前で2時間3分30秒の自己ベストを持つアモス・キプルト(ケニア)らを抜いて6位に浮上。4人の2位集団は約100m先にいる。
もしかしたらメダルに届くのではないか――。
大迫は日本人に“夢”を見させてくれた。メダルを手にすることはできなかったが、2時間10分41秒の6位でゴールを迎える。感動的な激走で日本人では9年ぶりの五輪入賞を果たした。
女子マラソンは一山麻緒(ワコール)の8位(2時間30分13秒)が日本人最高だった。トップ集団に食らいつくと、33km付近でトップ集団から脱落する。一時は9位まで順位を落としたが、最後は両手を広げて、ゴールに飛び込んだ。
「9番よりは8番の方がうれしかったので、最後は笑顔で終わろうと思っていました。世界の選手と走ってみて、世界の人たちは暑くても強いなと思いました。もうこれ以上頑張れないというくらい走ってきたので、悔いはありません」
充実の表情でインタビューに応じた一山。日本人では17年ぶりの五輪入賞になった。
かつて日本は世界大会でメダルを量産した
大迫と一山は近年のオリンピックでは健闘したといえるだろう。しかし、日本は世界大会のマラソンでメダルを量産してきた過去がある。