Jをめぐる冒険BACK NUMBER
日本代表の《ポジティブな3要素》は谷口彰悟・板倉滉のビルドアップと… “中国相手の2-0”を試運転に大一番サウジ戦へ挑め
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2022/01/28 11:33
2-0で中国に勝利した日本代表。サウジアラビア、オーストラリアも勝ち点3を積み重ねており、W杯ストレートイン「2枠」の熾烈な争いは続く
3)ゴールの可能性を感じるセットプレーの改善
ポジティブな要素としてセットプレーの改善も見逃せない。
いや、ゴールを奪えたわけではない。だが、ゴールに近づいているのは明らかだった。
例えば20分、右コーナーを伊東がグラウンダーで大きくマイナスに蹴り、フリーで南野に渡った場面。相手がラインを上げようとする裏を突いて遠藤が飛び込んでいった。ボールには届かなかったが、「練習でやっていた形」だと遠藤が明かす。
「練習でも流れてしまって、本番でも流れてしまったのが悔やまれる。(南野が)フリーだったのでシュートを打つかなと気にしてしまって。次は自分が入っていかなきゃいけない」
セットプレーコーチを招聘した効果が?
日本サッカー協会は1月から代表全カテゴリーを対象に、元栃木SCの菅原大介コーチをセットプレーコーチとして招聘したが、その成果がさっそく出始めたのかもしれない。
今後のために整理しておきたいのは、やはり左サイドの仕組みだろう。
南野が1列内側のハーフスペースで、左シャドーのようにプレーするのは問題ない。その際、長友はウイング然として、南野よりも高い位置をとっていい。そうして相手サイドバックを釘付けにするだけで、南野のマークを剥がすという大きな仕事を果たすことになるのだが……。
さあ、次の相手は勝ち点19でグループ首位を走るサウジアラビアだ。勝ち点15で2位に甘んじる日本にとって、21年10月のアウェイゲームで苦杯をなめさせられた因縁の相手となる。
そのサウジアラビア戦に備え、73分にベンチに下がった遠藤が力を込める。
「ホームなのでやっぱりアグレッシブに入りたい。相手もボールを持って攻撃するチームなので、ブロックを敷いて引きすぎず、自分たちもアクションを起こして、しっかり前から行きながらボールを持つようなシチュエーションを作りたい。あと、行くところと行かないところの判断をしっかりして、カウンターを狙うイメージも持っておきたい」
大一番を前に試運転ができたことは大きい
もちろん、中国戦のような“楽な”ゲームになるはずがない。
だが、その大一番を前に、選手同士のイメージ、頭の中の“画”を合わせ、試運転ができたことは大きい。
勝ち点3を獲得するという最大にして唯一のミッションを完遂したうえで、最終予選の一戦をまるでテストマッチのようにこなせたこと――。
ここにも、中国戦の価値がある。日本代表の進歩と成長のあとは、そんなところにも見えた。
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