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29連勝! 伝説の名馬を生んだのに13年連続赤字で…“18年前に消えた競馬場”、栃木県で愛された「足利競馬場」今は何がある? 

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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posted2022/01/14 11:03

29連勝! 伝説の名馬を生んだのに13年連続赤字で…“18年前に消えた競馬場”、栃木県で愛された「足利競馬場」今は何がある?<Number Web> photograph by KYODO

1999年4月足利競馬場で。逃げ切って27連勝(当時の日本記録)を達成したドージマファイター

 しかし、バブル崩壊と足利の地場産業である繊維産業の低迷もあって1991年度から赤字に転落。1996年度からは足利市から逆におカネをいただいて運営する状況になってしまった。そんなときに現れたのが、「リストラの星」ドージマファイターだった。

 とはいえ、いくらドージマファイターが活躍しても、足利競馬そのものをリストラから救うことはできなかった。トータルで見れば、市から足利競馬への繰入よりも足利競馬から市への繰入額のほうがはるかに大きい。が、市財政も悪化する中で、血税を競馬などというギャンブルに投じるのはまかりならんというご意見もまた、ごもっとも。結局、2002年度限り、2003年3月をもって足利競馬は廃止され、宇都宮競馬場で行われていた栃木県営競馬に吸収されて歴史に幕を閉じたのである。

 足利競馬の時代などまるでなかったかのように生まれ変わった渡良瀬川の河川敷を自転車で走り、再び足利駅へと戻った。その途中にはクルマ通りの多い橋があって、それこそが例の渡良瀬橋だ。森高千里の『渡良瀬橋』が発売されたのは1993年1月。足利競馬はすでに赤字を出し、廃止への道を歩み始めていた。

 2003年は地方競馬廃止禍の真っ只中。時代の流れにあらがえなかったといえばそれまでだが、その数年後から地方競馬にも風が吹き始めた。あとわずか、あと数年。なんとかならなかったものかとも思うのである。

(写真=鼠入昌史)

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