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29連勝! 伝説の名馬を生んだのに13年連続赤字で…“18年前に消えた競馬場”、栃木県で愛された「足利競馬場」今は何がある?

posted2022/01/14 11:03

 
29連勝! 伝説の名馬を生んだのに13年連続赤字で…“18年前に消えた競馬場”、栃木県で愛された「足利競馬場」今は何がある?<Number Web> photograph by KYODO

1999年4月足利競馬場で。逃げ切って27連勝(当時の日本記録)を達成したドージマファイター

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鼠入昌史

鼠入昌史Masashi Soiri

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 中央・地方含めた国内の競馬最多連勝記録を持っているのはホクショウマサルという馬である。北海道は帯広、ばんえい競馬の馬で、2018年7月から2020年2月まで実に31連勝。残念ながら、体調を崩して2021年6月に死んでしまったが、とにかく強すぎる馬であった。

 そしてこのホクショウマサルに次ぐ、サラブレッドとしては国内最多の連勝記録はドージマファイターの29連勝。中央競馬を未勝利で退き地方競馬に移籍、1996年2月から2000年11月まで、負けることなく走り続けた。中央から地方に移籍した後に大記録をあげたドージマファイターは、「リストラの星」などと讃えられたものだった。

 このドージマファイターが所属していたのが栃木県足利市にあった足利競馬場という地方競馬場である。1999年、当時の日本記録である27連勝を達成した折には、足利市長自ら関係者に感謝状を贈呈し、「競馬の振興に寄与した」などと褒め称えている。

 しかし、この感謝状贈呈からわずか4年後の2003年、足利競馬場は廃止されてしまう。そもそもドージマファイターの活躍にもかかわらず、足利競馬は1991年度以降赤字が続き、基金(つまり貯金)も使い果たして最末期には足利市から1億円以上の補填を受けていた。当時の市長がいくら「競馬の振興に寄与した」などといっても、その感謝状贈呈のわずか1カ月後には足利競馬のあり方を議論する公営事業委員会が開かれて、廃止へと突き進んでいったのだから現実は厳しいものだ。

 と、そんな足利競馬場も、それとセットになって北関東競馬を開催していた宇都宮、高崎競馬場もすべて消えてもう約20年。宇都宮競馬場高崎競馬場の跡地はすでに訪れていたが、最後に足利競馬場の跡地にも足を運んでみたい。ドージマファイターの記憶が残る足利競馬、いったいどうなっているのだろうか。

JR足利駅近く、“森高千里ファンの聖地”があった

 足利競馬場があったのは栃木県足利市、渡良瀬川の河川敷である。足利市のターミナルはJR両毛線の足利駅か、もしくは東武伊勢崎線の足利市駅。2つのターミナルは渡良瀬川を挟んで向かい合っている。どちらの駅からも、競馬場までは歩くと50分ほどだ。

 さすがに50分も歩いていられないので、JR足利駅の近くで自転車をレンタル。足利の市街地の中を東西に走っている道を進んで競馬場跡地を目指すことにした。

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