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JRA賞の大疑問「マルシュロレーヌは本当に特別賞に値しないのか?」史上初の日本馬BCディスタフ制覇は“63年越しの偉業”だった
posted2022/01/12 17:05
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Getty Images
2021年のJRA賞競走馬部門の受賞馬が1月11日に発表され、年度代表馬には皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念とGIを3勝したエフフォーリア(牡4歳、父エピファネイア、美浦・鹿戸雄一厩舎)が選ばれた。
それはいいのだが、非常に驚き、残念に感じた選考結果もあった。ブリーダーズカップ(以下BC)ディスタフで、日本馬による史上初のアメリカダートGI制覇を果たしたマルシュロレーヌ(牝6歳、父オルフェーヴル、栗東・矢作芳人厩舎)の特別賞受賞がならなかったことだ。
マルシュロレーヌは本当に特別賞に値しない馬なのか?
JRA賞の各部門の受賞馬は、記者投票で決められる。部門別の表彰とは別に、8名の受賞馬選考委員会で、マルシュロレーヌの特別賞について検討されたものの、規定である4分の3(6票)以上の賛成を得られず、受賞が見送られることになったという。
過去に特別賞を受賞した馬を新しい順に見ていくと、2020年には宝塚記念と有馬記念の両グランプリを制したクロノジェネシス、2016年は天皇賞・秋と香港のGIを2勝したモーリス、2009年は8歳馬として史上初の平地GI制覇を果たしたカンパニー、2007年は64年ぶりの牝馬のダービー馬となったウオッカ、天皇賞春秋制覇を達成したメイショウサムソンが選ばれている。さらに遡ると、2004年コスモバルク(特別敢闘賞)、2001年ステイゴールド、1999年グラスワンダー、スペシャルウィーク、1998年サイレンススズカ、1995年ライスシャワー、1993年トウカイテイオー、1989年オグリキャップといった歴代の名馬の名が見える。みな、特筆すべき実績を残しながら、その年の年度代表馬や部門別の表彰馬にはほかの馬が選ばれたため、特別賞が与えられた。
日本馬として初めてアメリカのダートGIを制した(海外ダートGI初制覇でもあった)という実績は、本当に、ここに名を連ねるに値しないものなのか。