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箱根駅伝2連覇に黄信号? 王者・駒澤大に起こった“2つの誤算”「最初、安原は4区、花尾は3区がいいかなって思っていました」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2022/01/02 20:45
総合2連覇を狙う前回王者の駒澤大学。しかし、中盤に失速し、最大のライバルである青学大に往路優勝を許すことになった
この区間には丹所や遠藤大地(帝京大4年)、伊豫田達弥(順大・3年)らの各チームのエースが多数出ていたことが火に油を注ぐことになった。区間賞(1時間00分55秒)の丹所から区間5位の山本歩夢(国学大1年)が1時間01分59秒で走るなど非常にペースが早かったので、安原(1時間04分01秒)のブレーキで先行するチームとの差はどんどん開いていった。最終的に5位に落ち、トップの青学大に1分59秒差をつけられた。
それでも、まだ5位。挽回は十分可能だった。
慎重すぎた? 4区花尾は攻めの姿勢が見られなかった
全日本では、3区で12位まで落ちても徐々に挽回し、最終的に優勝した。今回も十分に挽回できる順位であり、その狼煙となる走りを実現できる選手が4区に配置されていた。
当日変更で勝負を決めるべく投入された花尾恭輔(2年)だ。
全日本8区のアンカー勝負で、冷静な駆け引きで優勝を実現する走りを見せた花尾に今回も開いた差を詰め、あるいは逆転する展開を誰もが期待した。
だが、慎重なレース運びに徹しているのか、なかなかテンポが上がらない。
「もっと上げていないとダメだ」という大八木監督の檄が飛ぶ。
嶋津雄大(創価大4年)や飯田貴之(青学大4年)らがスピードを上げる中、花尾から攻めの姿勢がいまひとつ感じられなかった。4区スタート時、トップを行く青学大と1分59秒のタイム差が15.4キロの酒匂川ポイントでは創価大、順大らの5位グループに吸収され、3分16秒差に開いた。
「他の選手は14分20秒ぐらいで入っているのに花尾は14分50秒ぐらいで入って、あまりにも抑えすぎかなって思いました。後半も上がることもなく、最後の2キロ頑張ったぐらいで、物足りないですね」
大八木監督は、もっと走れるはずの花尾に対して、落胆した声で、そう言った。
花尾は区間9位、5区での襷渡しで駒澤大は6位、トップの青学大とは2分55秒差だった。
大八木監督「最初、安原は4区、花尾は3区がいいかな」
勝負に出た3区、4区の2区間ともに落ちた。この衝撃は、かなり大きかった。