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箱根駅伝2連覇に黄信号? 王者・駒澤大に起こった“2つの誤算”「最初、安原は4区、花尾は3区がいいかなって思っていました」
posted2022/01/02 20:45
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Nanae Suzuki
往路3位――。
いつもなら悪くはない結果だろう。だが、駒澤大が総合優勝をするために、絶対に前に行かれてはいけない青学大に往路制覇を許し、3分28秒もの差をつけられてしまった。青学大の復路のメンバーは往路を走れるレベルの選手が控えている。机上での戦力を分析すると、2連覇は極めて厳しい状況に追い込まれた。
大エースの田澤廉(3年)を擁し、2連覇を掲げた駒澤大に何が起きたのだろうか。
当日変更の2区間で生じた「2つの誤算」
出足は良かった。
1区、唐澤拓海(2年)がトップの中央大と39秒差の2位につけた。そして、2区の田澤でトップに立った。ここまでは大八木弘明監督のイメージ通りだったはずだ。
だが、当日変更で自信を持って入れ替えた3区、4区に異変が生じた。
特に3区は、いろんなことが重なり、大きなミスになってしまった。
全日本1区で区間賞を獲った佐藤条二(1年)に代えて、出雲2区3位、全日本6区2位と結果を出し、安定感抜群の安原太陽(2年)を投入したのは、往路を確実に獲るための策としては当然の選択だった。
だが、ここで2つの不運が重なった。
1つは、安原の走りである。
単純なガス欠なのだろうか、茅ヶ崎ポイントで青学大の太田蒼生(1年)と東京国際大の丹所健(3年)に並ばれてからは、明らかに精彩を欠いていた。体に異変を感じているようにも見え、ゴール後、倒れ伏してしまったが、区間16位は誰も想像しなかった結果だった。
田澤から襷を受けた時点で2位の青学大に1分2秒の差をつけていたので、本来であればその貯金を活かして、さらに大きく引き離す展開を思い描いていたはずだ。
だが、マイナスに転じて青学大に先行されたのは大きな誤算だった。
「安原はスタミナ不足がありました。3区はちょっとキツかった。あまりいい走りができなかったので、すごく残念です」
大八木監督は、そう言って安原の失速を悔やんだ。ただ、3区の悪夢はこれだけではなかった。