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箱根駅伝は「4年間レースプランなし」…柏原竜二32歳がランナーに伝えたい“5区を攻略するための3つのポイント” 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2021/12/18 17:06

箱根駅伝は「4年間レースプランなし」…柏原竜二32歳がランナーに伝えたい“5区を攻略するための3つのポイント”<Number Web> photograph by AFLO

2009年から4年間にわたり箱根駅伝5区を走り続け、すべてで区間賞を獲得した柏原竜二

「これはもう4年連続3区を走るかどうか、帝京大の遠藤大地(4年)ですね」

 帝京大は前回の箱根駅伝は総合8位、シード権を4年連続でキープしている常連校だ。今年の出雲駅伝は8位、全日本大学駅伝は13位だったが、遠藤は出雲2区5位、全日本3区6位とまずまずの結果を出している。箱根は、過去3年間3区で、3位―2位―4位と毎年好成績を収めていて、今年は区間賞の期待がかかる。

「1区、2区で流れが悪くても遠藤くんが3区で取り返してくれていて、前回も14位から6位に順位を上げていますからね。そこで流れを作って5区で4位まで上がったので、そう考えると遠藤君がいないとヒヤッとしたと思います」 

 3区のスペシャリストとして、次に区間新で区間賞を取れば、歴史に名を残すことになる。

「4年間、レースプランを考えたことはありませんでした」

 柏原さんは、5区で圧倒的な強さを見せて1年、2年、4年と自己ベストを更新した。山でタイムを出すのは、1回目よりも2回目が難しいと言われている。1回目は慎重に走るので途中でタレることが少なく、タイムも出るが、2回以降になるといろんな計算が働くからだ。

「富士通に入社した浦野(雄平・國學院大卒)君に5区の話を聞いたんです。彼は前半、中盤、後半と明確なプランを立てて走っていたんです。浦野君や神野君のようなやり方もありますが、僕は4年間、レースプランを考えたことはありませんでした。大学4年で1時間16分台を出した時は、最初の5kmを15分台で入ったんです。それまでは14分45秒前後で入っていたので、ペースは4年間で一番遅かったですけど、最終的には一番速く走れました」

 5区は各大学ともいくつかのポイントを分けてラップを取っている。もしその計算を必要としないとすれば、山を攻略するのにはどうしたらいいのだろうか。

猛者が集う5区の攻略法とは?「そこで動きを変える感じ」

「前提として、コンディションを整えていくこと。まずは実際のコースと走りのイメージをすり合わせておくだけで良いと思います。あとは個人的には動きを変えないことも大事かなと。よく大平台のきついヘアピンカーブから動きを変える選手がいるんですけど、それってエネルギーをロスする部分も大きいと思います。ロスをしないでいれば最後のラストスパートが効くんです」

 柏原さんは5区で走りを変えるのは1回でいいという。しかもそれは上りの最中ではなかった。

【次ページ】 5区で走りを変えるのは“1回のみ”

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