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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
久々の“日本代表アウェイ取材”で驚いたこと…「柴崎、南野、吉田のファンなんだ」と喜ぶ警備員、現地PCR検査や羽田の水際対策は?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2021/12/02 17:03
オマーン戦の記者席から。試合取材に至るまで様々な驚きの出来事があったという
前半も半ばを過ぎたころ、なかなかパッとしない日本の攻撃を横目に、僕の意識は日本のゴール裏に傾き出した。早くも4人の選手がウォーミングアップを開始したからである。浅野拓磨、古橋亨梧、三笘薫のアタッカー陣と、左サイドバックの中山雄太だった。
守備の選手がこの時間からアップをするのは珍しい。それに、三笘のアップのペースが明らかに早い。ベトナム戦に続いて左サイドの総入れ替えがありそうだ。
ハーフタイム中、三笘のダッシュを見てSNSを
ハーフタイムに入ると、彼ら4人と、ベンチに控えていた選手たちがピッチでボールを蹴り始めたが、三笘はダッシュを繰り返したあと、ひとりロッカールームに戻っていった。
これは間違いない――。
そう確信した僕は、試合中はめったにSNSを使用しないのだが、前半の内容にヤキモキしているであろうDAZN視聴者に少しでも希望を届けようと、ツイッターでつぶやいた。
《ハーフタイムの練習を見ている限り、三苫薫に出番がありそうです(期待させて出なかったら、すいません)》
慣れないことをするものではない。焦っていたのか、三笘の「笘」の字を打ち間違えてしまった……。
後半のピッチに現れた選手たちの中に、やはり三笘の姿があった。
ひと月前に所属クラブでハットトリックを達成したウインガーは、自身に期待されているタスクを理解していた。ファーストプレーで相手の右サイドを切り裂くと、その後も力強くドリブルを仕掛けていく。
オマーンの守備が乱れ始めた。日本の攻撃ががぜん勢いづく。
日本に2連勝できるわけないよな、という空気
ついにスコアが動くのは、81分のことだった。中山が相手からボールを奪い取って三笘に預けると、一気にスピードアップしてボールを中央に送り込む。
飛び込んできたのは、伊東純也だった。伊東の左足がボールを捕らえると、ゴール裏からゲームを眺めていた板倉滉、鎌田大地、酒井宏樹が両手を挙げて喜びを表した。
追加タイムを含めて残り10分。落ち込むには早い時間だったが、オマーン代表とスタンドのサポーターに広がったのは、諦めの色だった。
ピンチらしいピンチを迎えることなく追加タイムの5分が過ぎたころ、日本の勝利を告げるホイッスルが鳴った。
ピッチ中央で歓喜する日本代表チームを尻目に、バックスタンドに挨拶に向かったオマーン代表チームは、ブーイングを浴びせられた。
しかし、スタジアムの雰囲気はどこかサバサバしていて、日本に2連勝できるわけないよな、といった納得の空気が漂っていた。
森保監督が一人ひとりとグータッチして
そんな様子をひとしきり眺めたあと、急いでスタンドから1階の記者控室兼会見場に移動した。指揮官とマン・オブ・ザ・マッチの記者会見が始まるからだ。
会見場に姿を現したのは、森保監督と殊勲の伊東だった。