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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
久々の“日本代表アウェイ取材”で驚いたこと…「柴崎、南野、吉田のファンなんだ」と喜ぶ警備員、現地PCR検査や羽田の水際対策は?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2021/12/02 17:03
オマーン戦の記者席から。試合取材に至るまで様々な驚きの出来事があったという
無事にオマーンから出国し、無事に日本に帰国するために必要なもの――。
PCR検査である。
病院のメドはすでに立っていた。もともとは、在オマーン日本国大使館が紹介している大型病院を訪ねるつもりだったが、ラッキーなことにホテルの並びに病院があったのだ。
さらにありがたいことに、僕とMさんの共通の知人で、偶然にも同じホテルに泊まっているUAE在住のコーディネーターの女性が「その病院でPCR検査の陰性証明を出してくれますよ」と教えてくれたので、入国翌日に一度訪れ、日本の書類にサインしてくれることも確認していたのである。
その「アル・ラファ・ホスピタル」の検査場は、日本ではなかなかお目にかかれないものだった。
なんと、ドライブスルー検査だったのだ。
病院の裏手の駐車場が検査場として使用されていた。
3台ほど並んでいた車の後ろに並ぶと、僕たちの後ろにも車が付いた。つまり、車に挟まれた状態でしばらく待機していると、係の人が「こっちに来い」と手招きをする。
案内されたのは車とは別の窓口だった。そこで受付を済ませると、検査キットを渡された。反対側の小屋に入ると、医師が待っていた。そこから時間にして1分かかったかどうか、鼻の穴と喉に綿棒を突っ込まれ、あっと言う間に検査が終了した。
「着席禁止」の貼り紙、でもサポーターは野太いコーラス
キックオフの1時間半前、スタジアムへと続く道はすでに渋滞していた。その隙間を縫うように道路を横断するオマーンサポーターの背中を追って、スタジアムを目指す。
この日のチケットは完売しており、3万4000人収容の半分にあたる1万7000人の観客が入る見通しだという。
実際、座席にはひとつおきに「着席禁止」の貼り紙が貼られていた。
オマーンのサポーターはそんなことはお構いなしに、バックスタンドに集結し、大きな塊となって野太いコーラスを奏で始めたではないか。
ところどころ芝が剥げた、つまり、決して良コンディションとは言えないピッチに日本代表の選手たちが登場すると、バックスタンドを中心にブーイングが湧き上がった。
とはいえ、そのブーイングは、例えばイランやサウジアラビアのサポーターが日本代表に浴びせるような強烈なものではない。ピッチコンディションには苦戦するかもしれないが、アウェイのサウジアラビア戦のように雰囲気に飲まれることはなさそうだった。
20時、キックオフを告げる笛が鳴った。