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「出発当日になってもeビザが…」「え、あっけなく空港から出られた」コロナ時代のW杯予選アウェイ取材記《オマーン編》

posted2021/12/02 17:02

 
「出発当日になってもeビザが…」「え、あっけなく空港から出られた」コロナ時代のW杯予選アウェイ取材記《オマーン編》<Number Web> photograph by Atsushi Iio/JFA

1-0で勝利したオマーン戦。取材者は現地での試合にたどり着くまで、どんなことが起きていたのか

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Atsushi Iio/JFA

日本が1-0で勝利した、11月16日のカタールW杯最終予選オマーン戦。その現地取材に赴いたスポーツライター飯尾篤史氏に、オミクロン株の発見前から非常に難しい状況の海外渡航についてレポートしてもらった(全2回/後編も)

 1年半ぶりの海外渡航に浮かれていたわけでは、断じてない。

 あらゆる事態を想定し、万全の準備を整えて羽田空港の国際線ターミナルにやって来たつもりだった。

 経由地であるドイツのフランクフルトに向かう飛行機の出発時刻は24時50分なのに、19時には空港に着いたのも、ワクチン接種証明書やPCR検査の陰性証明書の確認など、チェックインに時間がかかると想定してのことだ。

 それにもかかわらず、なぜこんな当たり前のことに気が回らなかったのか。

 羽田であれ、成田であれ、国際線に乗る前には僕なりのルーティン(あるいは儀式)がある。寿司だとか、天ぷらだとか、いかにも日本食といった食事をとってから、出国ゲートをくぐるのだ。

 ところが、人もまばらな国際線ターミナルの4階に広がるレストラン街へ向かうと、まだ19時だというのに軒並みシャッターがおりている!

 開いていたのは某牛丼チェーン店とハンバーガーチェーン店くらいだったのだ。

 こんな光景は、まったく想像していなかった。電車の中で、さて、今日は何を食べようか、などと能天気に考えていた。コロナ禍だというのに。やはり浮かれていたのだろうか。

 のっけからこれでは、先が思いやられるな……。

 数々の困難が待ち受けるであろうコロナ時代の海外渡航を前に、僕はモスチーズバーガーにかぶりつきながら気を引き締め直した。

感染者の少ないオマーンには入国後の隔離がなかった

 11月16日に行われるアウェイのオマーン戦取材の案内が日本サッカー協会から届いたのは、オーストラリア戦9日後となる10月21日のことだった。

 11月11日にはアウェイでのベトナム戦も組まれているが、ベトナムは1日平均1万人以上の新規感染が報告されていて、コロナ禍の真っ只中。入国後に14日間の隔離措置があったり、提出する書類も煩雑だったりで、ベトナム行きは現実的ではない。

 一方、オマーンは入国後の隔離がない。2回のワクチン接種とPCR検査の陰性証明があれば入国できるようだった。新規感染者も1日平均10人程度で、困難や危険のハードルが低いように思われた。

 ホームでオーストラリアを下したとはいえ、まだグループ3位。しかも11月はアウェイ2連戦。ここで連勝すれば2位に浮上する可能性もあるが、ひとつでも落とせば、森保一監督が更迭されるかもしれない。

 サウジアラビア、オーストラリアとの10月の2連戦は序盤の山場と言われたが、むしろ、この11月シリーズのほうが大一番ではないか(現状、どの試合も山場であり、大一番だけれど)。

 しかもオマーンには9月2日、大阪での初戦で痛恨の敗戦を喫している。つまり、リベンジマッチでもある。

 これは、行かないわけにはいかない!

 記者魂はがぜん疼いた。

【次ページ】 渡航までの問題や混乱ぶりにビビり始めたが

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