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JリーグPRESSBACK NUMBER
《単独取材》「自分の言葉が逆効果になる可能性だってある」それでも川崎・鬼木達監督が“勝負の5連戦”を前に伝えたこととは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2021/11/26 11:02
2年連続のJ1優勝を決め、ふろん太くんに渡された金色のジャケットを着た鬼木監督
勝って乗り切っていくには、そのためのパワーが必要。だからこそ強いメッセージを送ったのだった。
これまで以上に全員の力が求められる。出番の少なかった選手の活躍がカギになるとも考えていた。悲壮な意味合いではなく、むしろここは楽しみな部分が大きかった。あとは自分が彼らをどう輝かせるか、どうチョイスしていくか。自分次第だと強く言い聞かせていた。
ヴォルティス戦では主力のレアンドロ・ダミアン、家長昭博を先発から外した。起用にはもう少し時間が掛かるだろうと見られていた新外国人マルシーニョの初先発に踏み切り、1トップにはリーグ戦では4カ月ぶりに知念慶を送り込んだ。
鬼木が決断した“勝利のための積極采配”
鬼木采配が当たる。そのマルシーニョがドリブルで仕掛けてPKを得て、知念が決めて先制した。ただ、圧倒できていたわけではなかった。前半を2-1で折り返した。
ハーフタイムでロッカーに戻った選手たちからは「もっと前からプレッシャーにいかないと」「もっと圧倒しないと」という声が挙がった。確かにそれがフロンターレのポリシー。選手たちの反応はうれしくもあった。だが勝負に徹するという己の決意に従えば、足もとを見なければならない。鬼木はプレスよりもブロックを組んで構える決断を伝えた。消極的なニュアンスなどではなく、勝利のための積極采配だと位置づけた。
「センターバックが少し疲弊しているなと感じたので、そこは後ろに合わせようという話をしました。少々押し込まれても、仕方がない。徳島も新しい外国人選手が控えていて、スペースを必要とするタイプだという認識でした。そうなるとスペースは与えたくない。後ろに重心を置くやり方でいこうという自分の判断でした」