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三笘薫の鮮烈デビューを“健全な競争”の足がかりにできるか?「采配負け」から始まった最終予選で森保ジャパンが示した変化
posted2021/11/17 17:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
W杯出場圏内に、日本代表が初めて浮上した。
11月16日に行なわれたカタールW杯アジア最終予選で、日本はオマーンを1対0で下した。10月のオーストラリア戦、直前のベトナム戦と3連勝を飾り、通算成績を4勝2敗とした。
同日行われたその他のカードでは、サウジアラビアがベトナムを1対0で退け、5勝1分の勝ち点16で首位をキープした。2位だったオーストラリアは中国と引き分け、3勝2分1敗で勝ち点11である。勝ち点12の日本はオーストラリアを抜き、W杯の出場権を自力でつかめる2位に浮上したのである。上位2チームに食い込んだだけでなく、4位のオマーンとの勝ち点差を「5」に広げたのも価値がある。
代表デビューの三笘が試合の構図を変えた
オマーン撃破の道のりは険しかった。
ベトナム戦に続いて4-3-3で挑んだ前半は、相手の守備ブロックの外側でのパス回しが続き、ブロックを崩すアクションに乏しかった。オマーンが守り方を変えてきたわけではないから、原因は日本にある。相手の目線を変える意識が薄く、各駅停車のパスワークになっていた。
相手を見ながら攻め筋を変えていくことができなかった意味では、守田英正の出場停止が影響したかもしれない。代わって先発した柴崎岳は、同サイドの伊東純也や山根視来と効果的な連携を築けなかった。柴崎だけでなくチーム全体として、ワンタッチを挟んだパスワークができていなかった。攻撃のリズムに変化がなかったのだ。
そのなかでも、23分に決定機をつかむ。左サイドを突いた長友佑都のクロスに、大外でフリーになった伊東が合わせる。しかし、右足のシュートは大きくバウンドしてバーを越えていった。
0対0で迎えた後半、森保一監督が動く。インサイドハーフの柴崎を下げ、三笘薫を投入したのだ。システムは遠藤航と田中碧が並ぶ4-2-3-1となる。ボランチのふたりはその時々で立ち位置を変えていくが、いずれにしても攻撃重視の交代で、三笘は左サイドに入る。
この選手起用が、試合の構図をはっきりと変える。
三笘はファーストプレーで左サイドを突破すると、立て続けにオマーンの守備ブロックに穴を開ける。森保監督は62分にも南野拓実から古橋亨梧、長友から中山雄太へスイッチし、攻撃に変化を加えていく。