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阪神V逸に思う、落合博満監督が“ノックで鍛え上げた理由” エラー数、決定打不足、正捕手問題…狩野恵輔が指摘する「真の課題」とは?
text by
狩野恵輔Keisuke Kano
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/15 11:03
来季のV奪回に向けた阪神の課題とは? 狩野恵輔氏に聞いた
セットアッパーは岩貞祐太。彼の復活は不可欠ですね。同じく中継ぎにアルカンタラを起用するなら、奪三振率を上げるために、彼にはウイニングショットがほしい。今の球種では先発が適任だと思います。
2003、2005年の阪神リーグ優勝時から学ぶこと
これまで阪神V奪回への課題を話してきましたが、やはり一番はたびたび言及した「体力」面にあると思います。
思い出されるのは、03、05年のリーグ優勝時の阪神。当時の先輩選手たちは、それぞれのスタイルで1年間戦い抜くための体力を作っていました。
たとえば赤星憲広さんは、体が丈夫なほうではなかった。それでも、ご自身の体を誰よりも理解していたので、シーズン中も、マッサージやウエイト、ランニング……と体力維持のために、膨大な時間を割いていました。金本知憲さんや鳥谷さんがウエイトで追い込む姿もはっきり覚えています。
その一方で、関本賢太郎さんは、シーズン前に目一杯体を追い込んで、シーズン中はウエイトもあまりやらず、体のケアに専念していると言っていました。
つまり、選手それぞれが、自分にあったコンディション作りを考え、それを実践していたのです。
そう考えると、選手のコンディション調整は、かなりの部分を選手に任せていいのではないかと思います。もちろん、若手にはある程度の管理も必要ですが、選手は全員プロですから。管理するよりも、それぞれに自分の体と、1年間戦い抜くための調整法を考えさせることが大切だと考えます。
そうした自立したプロフェッショナルの集団を、矢野監督が“兄貴”として束ねた先に、本当の意味で強いチームが生まれるはずです。今季の失速を教訓に、来季こそぜひ、V奪回を実現してほしいですね。《「ドラ1・森木大智インタビュー」も読む》
(構成/田中仰)