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阪神V逸に思う、落合博満監督が“ノックで鍛え上げた理由” エラー数、決定打不足、正捕手問題…狩野恵輔が指摘する「真の課題」とは?
text by
狩野恵輔Keisuke Kano
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/15 11:03
来季のV奪回に向けた阪神の課題とは? 狩野恵輔氏に聞いた
もしFA権を取得した梅野が残留してくれれば、の話ですが、私は正捕手は梅野で迷うところはないと思います。坂本と併用するにしてもやはり「主」は梅野がいい。その際も、梅野の調子が落ちたから坂本に代えるといった併用ではなく、投手陣、相手チームとの相性などを踏まえた戦略的な起用が不可欠だと思います。
論点3)なぜ、打線がつながらないのか?
タイガースは「球を使える」バッターが少ない。つまり、相手バッテリーに配球を考えさせて、球数を多く投げさせられないんです。前半戦、攻撃陣が好調だった理由は、佐藤輝明の活躍だけでなく、2番糸原健斗、3番マルテが“いやらしい”バッティングをしていたことが大きかったと思います。
その後、マルテは4番に座りましたが、気負ってしまったのか、早いカウントで勝負したがるようになった。以降、球を使える打者は糸原だけになり、相手チームは攻めやすくなったと思います。
もちろん、佐藤や大山、サンズは初球からためらわないフルスイングが魅力です。そうした打者の調子がいい時はチームに勢いが生まれますが、ひとたび不調になると打線が切れやすくなる。その結果、攻撃が打「線」でなく打「点」に終わってしまうんです。
以前、藤川球児さんは、スラッガータイプの巨人・岡本和真への攻め方についてこんなことをおっしゃっていました。
「岡本は1つの打席で、ワンスイングで勝負にくる。だからこちらは、その“ワンスイング”をどこで誘うかを考えればいい。たとえば最初に見せ球でインハイを投げて、次にフォークを見せる。そして2ボールからの3球目をシュート気味に少し曲げて、サードゴロで打ち取るのがベストな配球だ」
阪神で言えば、その3球目も見逃して粘れるのが糸原とマルテです。こうした選手が、もう1人、2人でも増えれば、打線はもっとつながると思います。ただ若手には難しいので、現実的には中堅の大山がそのステージに上がってくれることを期待しています。
論点4)来シーズン、抑え・スアレスの後釜は?
スアレスが残留してくれるのがベストですが、もしアメリカに行ってしまった場合は、岩崎優がいいと思います。奪三振率も高く、安定感もある。だから私は、抑えについてはあまり心配していません。
あえて懸念を挙げるとするなら、岩崎が年間を通して1軍登録だったことがほとんどないことでしょうか。そこの体力面がキーになると思います。