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12球団最多勝利の阪神(貯金21)が巨人(借金1)に連敗終戦… 《儲かるし盛り上がるCS》だが、納得性は改善できないのか
posted2021/11/08 17:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
クライマックスシリーズは好ゲームになることが多い。ペナントレースと同じ相手に、少し時間を空けて仕切り直しをするわけで、手の内を知り尽くしているから好ゲームになるのだと思う。
11月7日、パのファーストステージ第2戦を千葉で観戦した。展開が何度も変わる好ゲームで、ロッテが4-4の引き分けながら楽天を下してファイナルステージ進出を決めた。2試合でロッテが1勝1分け、楽天が1敗1分け。「引き分け=0.5勝」のアドバンテージでペナントレース2位のロッテが3位の楽天を下したわけだ。ロッテファンの喜びの中にいると、にわかオリックスファンの筆者もうれしくなった。
一方で、球場で試合を見ながらも筆者は甲子園の状況が気になって仕方がなかった。甲子園でも2位阪神と3位巨人のCSファーストステージが行われていたが、巨人が第1戦を勝って王手をかけていたからだ。結局、2戦目も巨人が勝ってファイナルステージ進出を決めた。いわゆる「下克上」である。
阪神は12球団最多の77勝、巨人は61勝で負け越し
ルールでそう決まっているのだから、それでいいわけだが、今季ペナントレースの勝敗を見ると複雑な感情が湧いてくる。
<両リーグのCS出場チームの勝敗>
パ
オリックス 143試70勝55敗18分 率.560
ロッテ 143試67勝57敗19分 率.540
楽天 143試66勝62敗15分 率.516
セ
ヤクルト 143試73勝52敗18分 率.584
阪神 143試77勝56敗10分 率.579
巨人 143試61勝62敗20分 率.496
阪神は12球団で最多の77勝を挙げている。勝率もヤクルトに続く2位。これに対して巨人は上位6チームで最少の61勝、しかも6チームの中で唯一負け越している。
阪神の勝ち越し21はヤクルトと同じ。パの優勝チームオリックスは15、ロッテは10、楽天は4だ。そして巨人は-1。阪神と巨人のゲーム差は11もある。
いわば両リーグAクラスの6球団の中でもっとも成績が悪い巨人が、ヤクルトと甲乙つけがたい屈指の好成績を挙げた阪神を、わずか2試合の勝負で下して次のステージに上がってしまったわけだ。
もし「1引き分け=0.5勝」だったらどうなっていた?
今季のNPBは、新型コロナ禍によって「9回打ち切り延長なし、同点の場合は引き分け」という特別ルールだった。このため引き分けが大幅に増加し、引き分け数の差がペナントレースに大きな影響を与えた。