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〈最大7ゲーム差をつけるも…〉阪神はなぜ優勝を逃したのか? 藪恵壹が指摘する「ヤクルトにあって阪神になかったもの」

posted2021/10/28 17:03

 
〈最大7ゲーム差をつけるも…〉阪神はなぜ優勝を逃したのか? 藪恵壹が指摘する「ヤクルトにあって阪神になかったもの」<Number Web> photograph by KYODO

勝ち星ではリーグ1位ながら、無念のV逸に終わった阪神。藪恵壹に「ヤクルトにあって阪神になかったもの」を語ってもらった

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藪恵壹

藪恵壹Keiichi Yabu

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 2021年のレギュラーシーズンが終わりました。阪神は最終戦を落として、首位ヤクルトが優勝。やはり最後の試合でV逸が決まるのはショックなものですね……。試合観戦後は疲れ切ってすぐに寝てしまったほどです。

 優勝こそ逃したわけですが、今季のレギュラーシーズン、阪神はよく戦ったと思います。勝ち星ではリーグ1位の77勝(56敗10分)。6月には2位と最大7ゲーム差をつけるなど、前半戦の快進撃を見て「今年こそは」と思ったファンも多いはずです。

 これからCSという段階なのでシーズン総括は少し早いのですが、私なりに「なぜ優勝に届かなかったのか」「ヤクルトと比べて何が足りなかったのか」を3つ挙げてみたいと思います。

その1)ヤクルトには青木、石川がいたが…

 1つめがチームの“精神的支柱”の不在です。ヤクルトは、青木宣親、石川雅規という、これまで酸いも甘いも噛み分けてきた大ベテランがいました。周りの選手のコメントを聞いていても、いかに彼らが信頼されているか、青木のために、石川のためにという意気で最終盤を戦っていたかがうかがえます。

 かたや阪神にも、糸井嘉男ら実績のある選手はいました。主将としてチームを引っ張ってきた大山悠輔も体の状態が良くない中、懸命に戦っていることは伝わってきました。もちろん、スポットライトが当たらないところで、若い選手に言葉をかけたり、態度で示したりといったことはやっていたと思いますが、チームに“安心感”を与えられる選手が少なかった。前半戦の快進撃を支えたルーキー3人(佐藤輝明、中野拓夢、伊藤将司)を、失敗を恐れずに思いっきりプレーさせられる雰囲気が今ひとつ感じられませんでした。

その2)“球際の弱さ”。失策数は12球団ワースト

 2つめが“球際の弱さ”です。これは長年にわたる阪神の弱点ですが、やはり大事な試合、シーンでエラーが目立ちました。エラーの数は12球団最多の86。バッティングは1年でガラリと変えられずとも、守備は鍛えれば改善できる。毎年の課題ではありますが、今秋こそ徹底して底上げすべきでしょう。これは私が何度も言っていることですが、サードに佐藤輝明、ファーストに大山。ぜひとも、固定してほしいと考えています。

【次ページ】 最終戦で感じた“ちぐはぐ感”

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