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「eスポーツはオリンピック競技になる?」「なぜ筋トレするの?」“東大卒プロゲーマー”ときど(36)に聞いてみた
text by
平田裕介Yusuke Hirata
photograph byShiro Miyake
posted2021/10/21 11:02
東京大学を卒業し、現在は「ストリートファイター」のプロゲーマーとして活動するときど
――日本でもeスポーツを後押しする動きを感じたのは、いつくらいからですか?
ときど あくまで僕個人の感覚になりますけど、テレビで前向きなものとして扱ってくれるようになってきた時期があって。なんだか弾けたなって。
2018年にNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」が、梅原(大吾)さん(日本人初のプロゲーマー)をフィーチャーしたんですよ。あのあたりで一気に認知度が高くなりましたね。自分のなかでも「でっかくなってきた!」みたいなのを感じました。業界の規模がどんどん大きくなって、大会でも人の集まり方がどんどん変わってきたんです。あそこで、僕もほかのプロゲーマーも、もうちょっと世間に対して積極的にいっちゃってもいいんじゃないかなと思えたし。
eスポーツはオリンピック競技になる?
――日本はゲーム文化が深い国だけに、もっと早くからeスポーツが盛り上がっていてもおかしくないのではと思います。本来だったら、大きな大会がいくつも行われていて、それらがテレビ中継されているような。
ときど コロナ禍になる直前までは、そうなるんじゃないかと考えてました。自分にとって、一番大きなゲームのリアルイベントって「東京ゲームショウ」なんですよ。2020年と2021年の通常開催はコロナで中止になっちゃったんですけど、2018年の来場者は29万人、2019年は26万人と、とんでもない数だったんです。さらに「でっかくなってきた!」って感じました。
――2018年当時にもeスポーツがオリンピック競技になるのではないかみたいな話はありましたよね。
ときど 2012年とか2013年くらいから、一部の人たちがそういった噂を囁き出しましたけどね。オリンピックが来るたびに言われますけど、動きは全然ないですよ。
でも、2022年に中国の杭州で開催されるアジア競技大会ではeスポーツが正式種目になって、そのなかに僕がやってる「ストリートファイター」も入ったんです。これは僕にとっては嬉しいし、いろいろと頑張ってくれている人たちがいるんだろうなと。こうして国際的な競技として認められるのは、業界にとってプラスになるんじゃないかなと思います。
なんだかんだ言って、オリンピックでも認めてもらえれば嬉しいですよ。以前よりもプロゲーマーやゲームに対する偏見も薄まったとは言いましたけど、けっして安泰という状況ではないですから。