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「eスポーツはオリンピック競技になる?」「なぜ筋トレするの?」“東大卒プロゲーマー”ときど(36)に聞いてみた
text by
平田裕介Yusuke Hirata
photograph byShiro Miyake
posted2021/10/21 11:02
東京大学を卒業し、現在は「ストリートファイター」のプロゲーマーとして活動するときど
筋トレして「見た目を良くしよう」と思ったきっかけ
――フィジカルな面についてもお話をお伺いしたいのですが、体重や筋肉の増減はプレイになにかしら影響を与えるものですか。かなり身体を締めているように思えますが。
ときど 筋トレは、プレイするうえで助けになってます。見た目を良くしようと思ったのが、筋トレをやるきっかけだったんですけどね。僕らってゲームはうまいけど、それが社会にとって好影響を与えてるわけじゃないじゃないですか。だからこそ、注目された時に少しでも良い印象を持ってもらえるようにすべきだし、その準備をしておいたほうがいいと梅原さんに言われて。「そういう視点を持っているのか!」とすごく感銘を受けて、そこからジムに通うようになったんですよ。
もちろん、筋トレをすることで体力、持続力もつきます。ほかのプレイヤーよりも遠征先でピンピンしてられるんですよ。遠征でアメリカに行って、次の週にヨーロッパに行くっていう時でも、普段どおりのパフォーマンスを出せるのは体力的に余裕があるからでしょうね。
あと、筋トレはプレイの疑似体験にもなります。大舞台でプレイしていると、緊張のあまり頭が真っ白になってしまうことがありました。筋トレで徹底的に自分を追い込むことで、極限状態でプレイしている時の精神や肉体に近づけることができるんですよね。
空手道場に通って得たもの
――空手道場にも通っているそうですが、それも格闘ゲームをプレイするにあたっての勘所が冴えてくるみたいな効果があるわけですか。
ときど 通うきっかけは、剣道のドキュメンタリーを見て。すごく練習をしてるのに勝てない相手がいるっていう内容で、僕もそういう悩みを抱えていた時期だったんですよ。それもあって見ているうちに、ゲームと同じ勝負事である格闘技や武道の世界も面白いなって。それを周囲に話したら、空手の交流会というかサークルを紹介してもらったんです。ちょっと、コロナでできなくなっちゃってますが。
空手をやることで体力より胆力がつきましたね。空手の師匠にも「すごく胆力がついたなと感じる、君の仕事でも空手が活きてるのは間違いないと思うよ」と言ってもらっています。
――特に競技前などでは、メンタルも重要になりますよね。
ときど すごく意識しますね。心拍数を安定させるっていうか。あまりドキドキしながらやりたくないので。プレイ直前に1回走り込みをして、心拍数を上げてから下げるんです。すると、少なくとも身体が慣れてきてドキドキしなくなるんですよ。