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「eスポーツはオリンピック競技になる?」「なぜ筋トレするの?」“東大卒プロゲーマー”ときど(36)に聞いてみた
text by
平田裕介Yusuke Hirata
photograph byShiro Miyake
posted2021/10/21 11:02
東京大学を卒業し、現在は「ストリートファイター」のプロゲーマーとして活動するときど
オンラインでゲームの世界大会が“できない”深いワケ
――大会といえば、新型コロナウイルスの影響でeスポーツの大会も延期や中止が相次ぎました。ときどさんとしては、どのような余波を受けましたか?
ときど 遠征がなくなっちゃった。僕にとっては、これがつまらないんですよね。普段だったら絶対に行かないような国に行けて、そこでプレイできる。こういうことができなくなってしまった。みんながみんなそう思ってるかっていうと、そうじゃないのかもしれないですけれどね。遠征ってどうしても疲れるし、行くだけで大変だっていう人も多いので。
そういうなかでは、オンラインでやるしかない。だけど、オンラインだからってどこの国のプレイヤーでもプレイできるわけじゃない。インターネットの中継点を通ると、0コンマ数秒くらいの遅れが生じるんですよ。対戦はリアルタイムになるので、日本にいる僕らはなんとか(比較的距離が近い)韓国とか台湾のプレイヤーと対戦できるかなって感じですね。将棋みたいに持ち時間があるゲームはできるんでしょうが、格闘ゲームはなかなか。
日本産の「ストリートファイター」でも海外人気のほうが…
――海外の大会のほうが圧倒的に規模が大きいそうですね。
ときど 世界最大の大会っていうとEVO(The Evolution Championship Series)というのがあって。最初はカリフォルニア州でやって、いまはラスベガスで開催されているんですけどね。あの規模の大会をアメリカ以外の国では、いまだに体験していないですね。
――たとえ競技に用いられるのが日本産のゲームであっても、海外の大会では盛り上がるものですか。
ときど 「ストリートファイター」の売れてる数が日本では1だとすればアメリカでは10なんですよ。そういった面でプレイヤー人口の厚さもあるし、そもそもオーディエンスの盛り上がり方も違う。アメリカの大会には南米の人たちも参加するので、熱狂的になるんですよ。ここ最近はコロナで大きなイベントが出来ないけど、それでも熱が入ってきているのは感じてましたね。
――大会では対戦相手とガチンコでやりあっても、終わったらフランクに交流しているイメージもありますよね。
ときど そうですね、海外の選手はトップクラスに位置する人でもサインしてくれとか、一緒に写真を撮ろうとか言ってきますね。これは日本のプレイヤーが強いからってのもあると思います。
日本の場合、特に「ストリートファイター」のプレイヤーたちは絆が強いほうなんじゃないですかね。
こんなことが仕事になるとも思わなかった頃から、ずっとやってきた人たちだし、周りから認められてこなかった人たちなので、ことさら強いわけですよ。