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流経大からJ1内定者なんと7人!「サイクルがハマった」理由と、あの“臨時コーチ”の存在
posted2021/09/30 17:06
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
AFLO SPORT
流通経済大学と言えば、大学サッカー界において多くの人材を輩出し、輝かしい結果を残してきた“名門”である。今年はその名をさらに轟かせる現象が起きた。流経大から実に7人ものJ1内定選手が発表されたのである。
《流経大J1内定者一覧(22年シーズン)》
DF佐々木旭(埼玉平成高)→川崎フロンターレ
MF宮本優太(流経大柏高)→浦和レッズ
MF安居海渡(浦和学院高)→浦和レッズ
MF菊地泰智(流経大柏高)→サガン鳥栖
MF佐藤響(水戸啓明高)→サガン鳥栖
MF仙波大志(サンフレッチェ広島Y)→サンフレッチェ広島
FW満田誠(サンフレッチェ広島Y)→サンフレッチェ広島
同大学では、J1内定者5人を輩出した2008年(三門雄大、染谷悠太、平木良樹、宮崎智彦、楠瀬章仁)を超える最高人数。他大学を見ても、2桁のJリーグ内定者を出した大学はあるものの、そのうちJ1内定選手が5人以上というチームは近年では記憶にない。
なぜ、7人ものJ1内定選手が誕生をしたのか。流経大サッカー部を一から築き上げ、名門大学に育て上げた中野雄二監督は、この現象を「必然」と語った。
カギを握る“付属組”のリーダー
まず、流経大を語る上で欠かせないのが流通経済大学付属柏高等学校の存在だ。毎年10~18人の部員が大学サッカー部に“昇格”する。高校年代でトップレベルの実力を誇る流経大柏だけに、高校3年間をともに過ごした選手たちは、当然、大学でも「一大勢力」になる。
「毎年、(チームの)ベースは付属高の選手たちになります。彼らは我が強い選手が多いので、入学してすぐの頃は(それ以外の選手たちが)勢いというか、迫力に圧倒されてしまうこともあります。
流経大の成績が良い時は、全国トップレベルの成績を残した世代の付属高の主軸選手が7~8割入学し、かつ強烈なキャプテンシーを持っている選手が揃っている時。付属高のリーダーがしっかりしていないと、チームの空気が悪くなったり、他のチームの選手がやりづらくなる危険性を持っています。逆にしっかりしていると、そのリーダーが選手たちに対して厳しく言えるし、引き締められる」
それは、まさに今年のチームに当てはまる。現在4年生になる“付属組”は、高校時代にインターハイ優勝、選手権準優勝という結果を残した世代で、その多くが流経大にそのまま進学した。そのチームの主将を務めたのが宮本優太(浦和内定)で、当時から抜群のリーダーシップを誇り、言動でチームを引っ張ることができる稀有な存在だった。