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2年連続最下位→首位、ヤクルトはなぜ強くなった? カギは得失点差「ヤクルトが200点好転のウラで巨人は80点悪化していた」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2021/09/29 11:08
ヤクルトの村上宗隆(左)は史上最速100号を達成。山田哲人(右)とともにヤクルト打線を支える
先週、9月21日からの6試合を見ても、
中日3連戦(阪神)
21日 〇3-2
22日 ●1-2
23日 △3-3
巨人3連戦(阪神)
24日 △6-6
25日 〇3-0
26日 〇4-3
しびれる展開の試合ばかりで、この6連戦の得失点差は+4。6試合での総得点が20と低いのが悩みだが、パッと頭に思い浮かぶ解決策は、佐藤輝明の復活である。1カ月にわたる長期スランプ、そろそろ明けてもおかしくはないと思うのだが……。
なぜ巨人の得失点差は悪化したのか
一方、巨人は昨季に比べて得失点差に余裕がなくなってきている。ただし、坂本、岡本、丸の個人成績が極端に下がっているとはいいがたく、原因の特定が難しい。
先週の試合ぶりを見ると、広島相手には0ー2、13ー0、5ー0と余裕をもって勝った試合もあるが、阪神戦では接戦をモノに出来ず、どうもスッキリしない。
残るはヤクルト戦6試合、阪神戦3試合。下位球団との対戦が12試合残されている。このところ先発陣は、ヤクルトとは対照的に登板間隔を詰めて臨戦態勢を敷いているが、10月は下位3チームに対して余裕をもった戦いが出来るかどうかがポイントになるのではないか。いずれにせよ、首位攻防戦に万全の状態で臨みたい。
得失点は、1週間ですぐに改善する。たとえば、セーブシチュエーションの試合が続いたとしても、6連勝すれば10点程度は改善できる。9月26日の試合では、ヤクルトが16ー0で中日に勝った。稀にこうした試合で数字が大きく変動するが、最終的には落ちつくところへと落ちついていく。
果たして、投打ともに充実を見せるヤクルトが白星を重ねていくのか、阪神打線が春先の勢いを取り戻せるのか。そして、離され気味の巨人は――。
いよいよセ・リーグは佳境を迎える。