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最初は野茂英雄、大魔神や新庄も…「ワイルドカード」でプレーオフ進出、最もインパクトを残した日本人選手は誰?
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2021/09/20 17:01
左から、秋山翔吾、ダルビッシュ有、澤村拓一、菊池雄星
新庄はワイルドカードからワールドシリーズ進出
2000年には、ア・リーグ西地区王者アスレチックスにわずか0.5ゲーム差で及ばず2位になったマリナーズが「ワイルドカード」を獲得。同年、メジャーに移籍したばかりの佐々木主浩投手が、中地区優勝のホワイトソックスとの「地区シリーズ」で2試合に登板して2セーブと好投して、チームの「ア・リーグ優勝決定シリーズ」進出に貢献。東地区王者ヤンキース相手の同シリーズでも、2試合に登板して1セーブを記録している(チームは2勝4敗で同シリーズ敗退)。
2002年には、ナ・リーグ西地区で王者ダイヤモンドバックスから2.5ゲーム差の2位に終わったジャイアンツが、「ワイルドカード」でプレーオフ進出。「地区シリーズ」でナ・リーグ最多の101勝を挙げた東地区王者ブレーブスを3勝2敗で下すと、「ナ・リーグ優勝決定シリーズ」でも中地区王者カージナルスを4勝1敗で下してワールドシリーズに進出した。このチームには新庄剛志外野手(北海道日本ハムファイターズほか)が所属しており、日本人で初めてワールドシリーズに出場し、3試合に出場して6打数1安打という成績を残している。
ワイルドカードの快進撃への批判
ちなみに同年のワールドシリーズは、史上初の「ワイルドカード」同士の対決で、ジャイアンツに4勝3敗で競り勝ったのがエンゼルスだった。当時のエンゼルスには今年、大谷翔平選手が目指しているチーム歴代最多本塁打の記録保持者トロイ・グロース三塁手(2000年に47本塁打)や、レッドソックス時代の2013年に上原浩治投手、カブス時代の2016年には川崎宗則のチームメイトとしてワールドシリーズ優勝に貢献したジョン・ラッキー投手ら実力者が揃っていたが、「地区優勝を逃したチーム」が「リーグ優勝」した上に「ワールドシリーズ優勝」してしまうことを批判する球界関係者は少なくなかった。
それ以前にも、1997年にはNL東地区2位でのフロリダ(現マイアミ)・マーリンズが、チーム創設5年目にして初のワールドシリーズ王者になったり、2000年にやはり、NL東地区2位のメッツがナ・リーグ優勝を果たしてヤンキースとの「ワールドシリーズ」における「サブウェー(地下鉄)・シリーズ」を実現しており、「地区優勝を果たした意味がなくなる」などという小言が囁かれたが、前述の通り、「ワイルドカード」の快進撃はそれ以降も続き、2003年にはマーリンズ、2004年にはレッドソックスが「ワイルドカード」からのワールドシリーズ制覇を成し遂げ、2005年にはアストロズ、2006年にはタイガース、2007年にはロッキーズがそれぞれ、「ワイルドカード」からリーグ優勝を果たしている。