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ダルビッシュ「すごく責任を感じています」投手コーチ解任に主力の口論、下馬評高かったパドレスは“内紛”を乗り越えられるか
posted2021/09/24 11:06
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
こんなはずじゃない、との思いは強いに違いない。
2021年のメジャー公式戦も佳境に入った。開幕前、トレードで先発陣の軸となるダルビッシュ有、2018年サイ・ヤング賞の左腕ブレーク・スネルらを獲得したのをはじめ、大型補強で戦力を整え、パワーランキングでも常に上位にランクインしていたパドレスが、同地区で首位を争うジャイアンツ、ドジャースに大きく遅れを取り、ポストシーズン争いでも土俵際に追い込まれている。残り2週間となった9月20日時点では、2枠のワイルドカード争いで4ゲーム差を付けられる苦境に立たされた。
9月18日。敵地カージナルス戦で7回3安打無失点と好投しながら、救援陣が逆転され、9勝目を逃したダルビッシュは、自らの気持ちを落ち着けるかのように、淡々と言った。
「もちろん(負けたことは)タフですけど、今日のことは忘れて、明日の試合に絶対勝てるように各々が準備するしかないと思います」
憤りでもなく、開き直りでもない、これまでと変わることなく、最後まで戦い続けるという姿勢こそ、ダルビッシュがのぞかせたプロとしての気概だった。
狂った歯車
この日の試合中には、ちょっとしたアクシデントも起こった。5回表、三振を喫した若き主砲フェルナンド・タティスJr.がベンチへ戻った際、ヘルメットを叩きつけた行動に、チームリーダーのマニー・マチャドが激高。「お前だけの問題じゃない。野球のプレーをしているんだ」と詰め寄り、チームメートらが仲裁する映像が、SNS上などで流れた。日頃は、実の兄弟のように慕い合う2人のもみ合いは、勢いに乗れないチーム状態を象徴するようなシーンだった。
それでも、パドレスのジェイス・ティングラー監督は言った。
「これはネガティブなことではない。我々は家族。情熱もあれば、フラストレーションもある。感情的になることは自然だし、こういうことは起こり得るものだ」