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最初は野茂英雄、大魔神や新庄も…「ワイルドカード」でプレーオフ進出、最もインパクトを残した日本人選手は誰?
posted2021/09/20 17:01
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
9月上旬のある午後、某チームの広報部長から、「今年、プレーオフに出そうな日本人選手はいるのか?」と訊かれ、「4人いる」と答えた。
そう答えながら、誰一人として確かではないと考えていた。可能性があるのは、レッズの秋山翔吾外野手、パドレスのダルビッシュ有投手、そしてレッドソックスの澤村拓一投手、マリナーズの菊池雄星投手であり、彼らが所属するチームがどこも「地区優勝」は絶望的で、4チームとも「ワイルドカード」が目標となっているからだ。
ワイルドカードとは、公式戦の優勝チーム以外に与えられる「プレーオフ」出場権のこと。トランプのジョーカー=切り札を連想させるメジャーリーグ(MLB)独特のルールは、1995年から導入された(著者注:本来は1994年からのはずだったが、選手ストライキにより同年のプレーオフは開催されなかった)。
日本人初のプレーオフ出場は野茂英雄
日本人で初めて「プレーオフ」に出場したのは、「日本人メジャーリーガーのパイオニア」野茂英雄投手だ。
1995年にナ・リーグ西地区を制覇して、同中地区を制したレッズとの地区シリーズ(NLDS)第3戦に登板(5回7安打5失点で敗戦投手)した野茂は翌1996年、所属するドジャースがナ・リーグ西地区の優勝争いでわずか1ゲーム差でパドレスに敗れ、「ワイルドカード」として同東地区で優勝したブレーブスと「地区シリーズ」を戦っている(第3戦で3回2/3を投げて5安打5失点で敗戦投手)。
次に日本人で「ワイルドカード」によるプレーオフ出場を果たしたのは、1999年にメッツでプレーしていた吉井理人投手(現千葉ロッテ投手コーチ)だ。メッツは同年、ナ・リーグ東地区で首位ブレーブスに6.5ゲーム差の2位に終わったものの、97勝66敗(勝率.595)で中地区2位のレッズに1ゲーム差を付けて「ワイルドカード」を獲得。「地区シリーズ」ではナ・リーグ西地区王者のダイヤモンドバックスを3勝1敗で退け、ブレーブス相手の「ナ・リーグ優勝決定シリーズ」に進出している(結果は2勝4敗で敗退)。吉井は「地区シリーズ」第1戦に先発して6回途中6安打4失点で降板(チームは9回に4点を奪って逆転勝ち)。「ナ・リーグ優勝決定シリーズ」でも第1戦の先発を任され、5回途中5安打2失点ながら敗戦投手になっている。