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“全体練習わずか1日”の落とし込み不足とコンディション不良… 「最善の準備」自体に問題があったのでは〈オマーン戦敗因分析〉 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2021/09/03 11:10

“全体練習わずか1日”の落とし込み不足とコンディション不良… 「最善の準備」自体に問題があったのでは〈オマーン戦敗因分析〉<Number Web> photograph by AFLO

あまりに練度が低かったオマーン戦の日本代表。ドーハでの中国戦で逆襲はできるのか

 実際、オマーン戦でいまひとつパフォーマンスが上がらなかった酒井は試合後、オーバーワークを考慮して離脱することになった。

 右サイドバックにはもともと室屋成、山根視来も招集しているから、酒井は最初から初戦限定だった可能性がある。最終予選の初戦だけに、コンディションに不安があっても経験者の力を借りたかったのだろう。

ボランチは完全に人数不足だった

 一方、ボランチは完全に人数不足だった。

 田中碧を招集できず、守田英正は所属するサンタ・クララの試合時間の関係で30日中に帰国できないために次戦からの合流となった(日本政府の定めたルールでは、帰国日から3日後の朝の新型コロナウイルスの検査で陰性の必要がある)。

 さらに、板倉滉までもが負傷離脱し、代わって追加招集されたのがDF昌子源だったため、遠藤と柴崎岳が最後までプレーする他なかった。

 こうして見ていくと、移籍の関係で冨安健洋が合流できなかったり、南野拓実が負傷したにせよ、森保監督が常日頃から口にする「最善の準備」に問題があったことが分かる。

「日本に帰ってきてコンディションが悪いとか、時差があるとか、相手のほうがコンディションがいい、というのは言い訳にならない。それができないなら、国内の選手で23人を揃えればいいので。そうではなく、ここに呼ばれている以上、そうした状況の中で結果を出していくのが僕たちに課された使命だと思うので、結果で示すしかない」

 吉田の覚悟はよく分かる。しかし、今後もホームゲームのたびに全体の準備が1日しかできないのなら、3日間準備できる国内組中心の編成で戦うこと、ホームとアウェーでメンバーを入れ替えることも視野に入れるべきだろう。これまで「1チーム2カテゴリー」「ラージグループ」でチームを作ってきたのだから、なおさらだ。

ドーハでの中国戦までに、共通理解を増やすほかない

 いずれにしても、9月7日の中国戦は待ってくれない。

 不幸中の幸いというべきか、試合会場はカタールのドーハである。移動のバスや飛行機、ラウンジなどコミュニケーションを取る機会は、ホームゲーム以上にある。

 今からコンディションが劇的に改善されることはないが、すり合わせや共通理解を増やすことは可能だ。

 やれる準備は全部やる。初戦で敗れても、その後に挽回できることは前回の予選が教えてくれている。だが、もし2連敗を喫すれば……どんな結末を迎えるのか分からない。

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