Jをめぐる冒険BACK NUMBER
“全体練習わずか1日”の落とし込み不足とコンディション不良… 「最善の準備」自体に問題があったのでは〈オマーン戦敗因分析〉
posted2021/09/03 11:10
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AFLO
セルビアで1カ月の長期合宿を張ったチームと、全体練習がわずか1日のチーム――。準備の差が内容と結果にはっきりと表れた。
9月2日に行われたカタールW杯アジア最終予選の開幕戦で日本はオマーンに0-1で敗れた。
最終予選の初戦を落としたのは5年前、前回のロシアW杯に続いて2度目になる。
そのときは、守備を固めるUAEを攻め崩せずにセットプレーとPKから2失点。超満員の観衆の後押しが焦りを呼んで自滅した。
今回も試合後、何人かの選手から「引いて守る相手を崩すのは難しい」という趣旨の言葉が聞かれた。
だが、果たして本当にそうだったのか。
日本対策を準備してきたオマーンが一枚上手だった
たしかにオマーンは、中央の守備は固めていたが、しっかりプレッシャーを掛けてきたし、ディフェンスラインもしっかり押し上げていた。それどころか日本のライン間や選手間にポジションを取り、パスをつないでロジカルに攻めてきた。
スタンドから眺めている限り、“かつての中東のチーム”のようには見えなかった。
相手の2トップによって日本のセンターバックからボランチへのパスコースが封じられ、相手の3ボランチによってトップ下の鎌田大地のスペースが消される。攻め残った相手の2トップが日本のセンターバックに圧力をかけてくる。
中盤がダイヤモンド型を成すシステムに手を焼く様子は、まるで今夏の東京五輪の準々決勝、ニュージーランド戦の後半のようだった。
「システムを変えてみたり、マンツー(マン)に変えてみてもいいのかなと思う」
ニュージーランド戦を経験しているボランチの遠藤航は、対抗策としてそう語ったが、ピッチ内でそれをチームとして実行することができなかった。しっかり日本対策を準備してきたオマーンのほうが一枚上手だった。