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“全体練習わずか1日”の落とし込み不足とコンディション不良… 「最善の準備」自体に問題があったのでは〈オマーン戦敗因分析〉 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2021/09/03 11:10

“全体練習わずか1日”の落とし込み不足とコンディション不良… 「最善の準備」自体に問題があったのでは〈オマーン戦敗因分析〉<Number Web> photograph by AFLO

あまりに練度が低かったオマーン戦の日本代表。ドーハでの中国戦で逆襲はできるのか

事前に準備していたはずのサイド攻撃だったが

「相手がある程度守備を固めてきて、かつ中央を固めてくることは、これまでの彼らの戦いを見ても、今日起こりうることだと思って準備をしてきた。だから我々が攻撃をする際、サイドのスペースが使えるのではないかと。サイドから攻撃を仕掛けるとともに、ゴールに向かっていく部分、相手の守備網を崩すために横から楔を入れていく、縦パスを入れていきながら試合を進めていこうと」

 このゲームにおける狙いについて、森保一監督はそう明かした。

 右サイドハーフの伊東純也も「サイドバックを上げて、高い位置を取ろうと話していた」と語っているから、サイド攻略は事前に準備していたに違いない。

 しかし、効果的なサイド攻撃を仕掛けたり、素早くサイドを変えて相手を揺さぶったりすることは、前半の数回くらいしかできなかった。

「言い訳にするつもりはないが、全体練習に関しては一度できただけだった」と指揮官は明かす。

 ただでさえ、コロナ禍によって国内組、海外組、コーチングスタッフがホテルで隔離されており、コミュニケーションもままならない。そのため1日だけではしっかり落とし込むことができなかったのだろう。

戦術、戦略以前にコンディションが悪すぎた

 だが、問題はそれだけではない。戦術、戦略以前の問題として、あまりにコンディションが悪すぎた。

 それによって、このチームがこれまで積み上げてきたもの――1対1での粘り強い守備、攻守の切り替え、セカンドボールへの反応、パススピードや判断スピード、チーム全体の距離感――といった強みがまったく出せなかった印象だ。

「相手のほうがコンディションが良かったし、自分たちはクリエイティビティが欠如していたと思います。それは移動や時差の疲れによるものなのかは分からないですけど、いつものようなテンポでボールを回せなかったし、強度も足りていなかった」

 キャプテンの吉田麻也はそう分析した。だが、それもある意味当然のことだろう。ヨーロッパで週末に試合を行い、長距離移動を経て帰国し、わずか1日、2日の準備で試合に臨む。しかも、吉田、遠藤、酒井宏樹は今夏、東京五輪を戦ったばかりなのだ。

【次ページ】 ボランチは完全に人数不足だった

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