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「雨で延びたら…」明徳・馬淵監督が嘆く“練習場の地域格差”と各校監督のホンネ〈近畿勢以外のミスが目立つプレーって?〉

posted2021/08/27 20:00

 
「雨で延びたら…」明徳・馬淵監督が嘆く“練習場の地域格差”と各校監督のホンネ〈近畿勢以外のミスが目立つプレーって?〉<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

明徳義塾・馬淵監督が言及した甲子園の“練習場の地域格差”は、気候変動の真っただ中で考えていくべきテーマなのかもしれない

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間淳

間淳Jun Aida

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Hideki Sugiyama

 力の差を埋めるには練習しかない。その大切さを知っている名将だからこそ、本音が漏れた。“地方”最後の砦だった自らのチームが敗れ、近畿勢のベスト4独占が決まったことを問われた時だった。

「第一に、これだけ雨で延びたら我々は練習するところがないんですよ。地元の学校は自分のところの雨天練習場でできるが、地方からきた学校は思うように練習会場を確保できない」

 準々決勝で奈良の智弁学園に敗戦した明徳義塾・馬淵史郎監督は「近畿の高校野球はレベルが高い」とチーム力の差を認めている。ただ、順延が続いた影響を感じていた。

智弁学園や智弁和歌山の監督も感じる“地の利”

 甲子園から近い近畿圏の高校も、ホテル生活をするのは他の高校と変わらない。だが、自校の練習場所を使える“地の利”がある。

 勝利した智弁学園・小坂将商監督は「近畿は調整で学校に帰れるが、地方の高校だと、それができない部分でしんどい」と語り、ベスト4に進出した智弁和歌山・中谷仁監督も「宿舎からグラウンドに通えている」とメリットを口にする。雨の日は雨天練習場、晴れの日は実戦練習ができることに加えて、大会が長期間に及んでも慣れた環境で過ごせるのも心にゆとりが生まれる。

 例年、近畿圏以外の高校は、関西エリアのグラウンドなどで練習しながら、試合に備えている。今夏は異例の長雨で過去最多となる7度の順延。予定が立たず、地元以外の高校は練習場所の確保に頭を悩ませた。実際、高松商の長尾健司監督は練習ができなくなった日があったと明かし「練習の計画で戸惑うところがあった」と話している。

今年の明徳義塾は「ザ・高校野球」だったからこそ

 馬淵監督は今年の明徳義塾について、こう分析する。

「打順に関係なく1アウトからでもバントで送って、次の打者がポテンヒットでも何でもいいから点を取らないといけないチーム。試合の中で色んな細かなことをやる野球。ザ・高校野球というか、キャッチボールから守備練習、バント練習をやって。近畿圏の学校は長打を打てる選手がいるから、無死からでも平気で打たせていますけどね」

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