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<劇的一敗の研究>
大逆転のちサヨナラ押し出し。
帝京 vs. 智弁和歌山 2006

posted2020/08/14 07:30

 
<劇的一敗の研究>大逆転のちサヨナラ押し出し。帝京 vs. 智弁和歌山 2006<Number Web> photograph by KYODO

甲子園を唸らせるほどのすさまじい乱打戦。敗れた帝京の選手たちが名将の心を揺さぶった。

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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KYODO

今もなお甲子園史上最も壮絶と言われる打撃戦。しばしば疑問視されるのが帝京の継投策だが、実は勝算あっての采配だった、と名将が明かす。

帝京    000 200 028 :12
智弁和歌山 030 300 205×:13

 両チーム合計29安打25得点、7本塁打が飛び交った超乱打戦。今も甲子園の「名勝負」として語られる2006年夏の準々決勝、帝京対智弁和歌山の一戦は、帝京のちょっとした「奇襲」から始まった。

 前田三夫監督が試合前のプランを明かす。

「智弁和歌山は力のあるチームで、優勝候補でしたからね。劣勢なのはわかっていたので『奇策を考えないと』と。自分のチームの選手に緊張感を与える意味も込めて、高島という1年生を先発させました」

 高島祥平は東東京大会で3試合6回2/3しか投げておらず、甲子園でも3回戦まで登板はなかった。だが、1年生ながら思い切りのよい投球を、前田は評価していた。

 甲子園春夏通算40勝(当時)の名将は、意外性に期待しつつ、先も見据えていた。

「主力ピッチャー以外の選手に投げてもらうことも、あり得ると思っていました」

 先発の高島は2回途中3失点と、早々に相手打線の餌食となった。2番手の2年生左腕・垣ケ原達也も5失点。指揮官は7回途中からエースの大田阿斗里を登板させた。

 8回終了時点でスコアは4対8。このとき、前田は負けを覚悟していたが、選手たちの気概は失われていないと肌で感じた。「納得した形で終わらせてやりたい」

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