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「練習ができない」「体にキレが…」悪天候の甲子園に戸惑う監督と選手〈日大東北-近江は5回ノーゲーム→翌日もプレーボール遅延〉

posted2021/08/20 11:03

 
「練習ができない」「体にキレが…」悪天候の甲子園に戸惑う監督と選手〈日大東北-近江は5回ノーゲーム→翌日もプレーボール遅延〉<Number Web> photograph by Kyodo News

雨に泣かされる今回の甲子園。日大東北-近江は5回ノーゲームとなり、翌日もプレイボール時間が遅延した

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間淳

間淳Jun Aida

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 本塁打が出れば同点となる9回2死一、三塁。この試合3安打を放っている作新学院・相原一真の打球が、高松商の三塁手の前へ転がる。一塁へのヘッドスライディングに込めた願いは届かず、7-10で敗戦。19日の夏の甲子園“2試合目”は、午後7時47分に幕を下ろした。

「特に影響は感じませんでした。いつでも試合ができる準備をしていました。やってきたことは無駄ではないので、この経験を今後に活かしていきたいと思います」

 順延が続いた日程の影響を問われた作新学院の田代健介主将は、真っ赤に目を染めながら答えた。小針崇宏監督も「条件は相手チームも同じ。色んなことに対応するのは、よくあることで、想定しながら動けていたと思います」と語った。

 ただ、作新学院と高松商の2校は今大会、試合日程で最も影響を受けたといえる。新型コロナウイルス感染拡大と、連日の雨による順延。組み合わせ抽選では第2試合だったが、第1試合に変更された。さらに、早朝の試合に向けた調整を進める中、19日の第4試合に組み込まれることが試合前日に突然決まった。

「1試合早くなって練習ができなくなった」

 ナイターの中で乱打戦となった試合は、両校合わせて17点が入った。そして、そのほとんどの得点に失策が絡んだ。試合中に「E」のランプは6度も灯っている。判断ミスや単純なミスが目立ち、コンディションや試合勘を保つ難しさを感じさせた。

 言い訳をせずに敗戦を受け入れた作新学院の気持ちを代弁するように、勝者は調整の難しさや戸惑いを明かした。高松商の長尾健司監督は「本当に大変でした。1試合早くなって練習ができなくなったし、雨で流れてしまったらどうしようと練習の計画で戸惑うところもありました」とトーンを上げた。

 この試合前に、前橋育英に1-0で勝利した京都国際の小牧憲継監督も「試合の間隔が空いて、打線が思うようなスイングをできていませんでした」と振り返った。失点にはつながらなかったが、失策を2つ記録。完封したエースの森下瑠大についても「決して本調子ではありませんでした。走るスペースがなくて、体にキレがなかったです。本来、ストレートはもっと伸びるので」と雨による調整の難しさを口にした。

【次ページ】 日大東北と近江も天候に振り回される

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