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サッカーがゆえの多様性…米3部リーグ、デトロイト・シティFCが破綻した都市で成し遂げた連帯の物語<ロックのカリスマも支援> 

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posted2021/08/22 11:00

サッカーがゆえの多様性…米3部リーグ、デトロイト・シティFCが破綻した都市で成し遂げた連帯の物語<ロックのカリスマも支援><Number Web> photograph by L’Équipe

2020年秋シーズンにタイトルを獲得したデトロイト・シティFC。21年にはNISAレジェンドカップも獲得し、リーグ内では強豪のポジションにいる

 NPSLで6シーズンを過ごした後、デトロイト・シティFCは2019年にナショナル・インディペンデント・サッカーアソシエーション(NISA、3部リーグに相当)に加入し、プロクラブとしての地位を確立した。トップディビジョンであるMLSがチームを固定した閉じたリーグであるのに対し、2020年に開幕したばかりのNISAは開かれたリーグを目指している。MLSに対抗していくために、世界で広く採用されている昇格と降格を伴うシステムを採用した(註:実際に昇格・降格をおこなうのは、チーム数が24に増えてからのこと)。

「アメリカのサッカーシステムと戦うために、あまりに多くの時間とエネルギーを費やした。ヨーロッパや世界には、下位リーグにも優れたクラブがたくさんある。彼らを模範にして、私たちも自らの目的に集中したい」とシーン・マンは語る。

 同じようなクラブが地域にさらに増えていくことを彼は望んでいる。

クラブの成長は理念の実現とともに

「今は試合のために、4000km離れたカリフォルニアやマイアミにまで移動している。馬鹿げているだろう!」

 数カ月に及ぶ中断の後、9月に再開したリーグでデトロイト・シティFCは秋の王者に輝いた。現在おこなわれている春のシーズンは6月まで続く(註:最終的にシーズン優勝を飾った)。

「スタンドはさらに20%拡張することができるが、今はテレビ放映に力を注いでいる」とシーン・マンは言う。

 それ以外のプロジェクトとしては、2019年9月に女子チームを発足させ、またアカデミーシステムを採用して2500人以上の子供たちを集めている。

「プロチームの選手を育成することが目標だが、同時に有色人種の若者たちがサッカーに容易に接することができる社会的プログラムを構築したい」とシーン・マンは展望を語る。

 他に類を見ないクラブの挑戦はこうして続いていく。

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デトロイト・シティFC

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