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サッカーがゆえの多様性…米3部リーグ、デトロイト・シティFCが破綻した都市で成し遂げた連帯の物語<ロックのカリスマも支援>
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/08/22 11:00
2020年秋シーズンにタイトルを獲得したデトロイト・シティFC。21年にはNISAレジェンドカップも獲得し、リーグ内では強豪のポジションにいる
「私は市といくらかのコネクションがあったから、近隣の住民や商店主、町工場の経営者たちを集めることができた。理念はサッカーの枠を超えて、それぞれのチームが試合後に相手チームの街のバーで集うことだ」
彼の創設したデトロイト・シティ・フットボールリーグ(DFCL)は大きな成功を収めた。参加者は当初の300人から2012年には1000人に急増した。
「わかったのは街にはプロのクラブが絶対に必要ということだった。そこで4人の友人を誘ってビールを飲みながらデトロイト・シティFCを結成した」
ケン・ブッチャーは子供のころ、ミシガン州の複数のクラブでまだマイナースポーツだったサッカーをプレーした。後に彼はデトロイト・シティFCの最大のサポーターグループであるノーザンガード・サポーターズを組織する。
「練習や試合に行くにも長い時間をかけて移動しなければならなかった」とブッチャーが回想する。
「地域にプロチームはひとつもなかったから、シーンが作ったリーグのチームをサポートするしかなかった。それが縁で僕らは知り合った。サッカーとその社会的価値、ポピュラーな価値に対する情熱をともに持っていると僕らは理解した」
サッカーを通じて実現したい理念
デトロイト・シティFCとサポーターたちは、地域社会に深く根づいている。2014年、彼らはLGBT(性的マイノリティ)を支持するユニフォームを着てリーグ戦に臨んだアメリカで最初のチームとなった。
「毎年新たなパートナーと提携して、社会的な結びつきを深めるようにしている。家を持たない人たちや困窮した若者たちに、定期的に金を支給している」とシーン・マンは説明する。
ノーザンガード・サポーターズも多様で包括的なグループであることを欲している。ケン・ブッチャーは語る。
「すべては自然に結びついた。グループはすべての年代の人々を含み、その多くは難民やLGBTだ。僕らと一緒にいる限り、保護され安全であると彼らに伝えたい」