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平均年齢21.7歳! サッカーアメリカ代表が若手&海外組中心で「世界を驚かす」【26年共催W杯へ虎視眈々】
posted2021/03/28 17:00
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph by
Pierre Lahalle/L’Équipe- Adobe Stock
アメリカ代表がにわかに注目を集めている。昨年11月に招集された選手たちの平均年齢は21.7歳。しかもそのほとんどがヨーロッパでプレーし、ビッグクラブで活躍している選手も多く含まれていた。メキシコ、カナダと共同開催する2026年W杯に向けて、グレッグ・バーホルター監督は、思い切った刷新をおこない可能性に溢れたチームを作ろうとしている。
いったいアメリカで何が起こっているのか。『フランス・フットボール』誌1月26日発売号でティエリー・マルシャン記者が伝えている、アメリカの変革の現状と変貌を可能にした理由を、前後2回にわけてお届けする。前編では若い世代の台頭の現状と、それを可能にしたアメリカのサッカー文化について、マルシャン記者が分析している。(全2回の1回目/#2に続く・肩書や年齢などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
きっかけは予選敗退したロシアW杯
クリスチャン・プリシッチやタイラー・アダムス、クリス・リチャーズ、ジョバンニ・レイナ……。新しい世代の台頭で、アメリカは5年後にメキシコ、カナダと共同開催するワールドカップに、大きな希望を抱いている。
だが、3年前、彼らの頬はまだ赤かった。そして2017年10月10日に起こった出来事は、彼らにとっても大きな屈辱だった。ロシアワールドカップ予選最終戦でトリニダード・トバゴに1対2で敗れたブルース・アリーナ監督率いるアメリカは、同時刻におこなわれた試合でパナマとホンジュラスがともに勝利をおさめたためグループ3位から5位に転落、予選突破を果たせなかった。アメリカが本大会に進めないのは1986年メキシコ大会以来のこと。北中米カリブ海地域ではメキシコと並びワールドカップの常連であるアメリカにとって、体制の立て直しは急務であった。
アリーナの後を継いだグレッグ・バーホルターは、チームの大幅な改革を断行した。トリニダード・トバゴ戦に名を連ねた23人のうち、昨年11月のふたつの親善試合、ウェールズ戦(11月12日、0対0の引き分け)とパナマ戦(同16日、6対2の勝利)で彼が選んだ24人の中に入っていたのは、ベテランのティム・リーム(33歳)と神童の誉れ高いチェルシー所属のクリスチャン・プリシッチ(22歳)のふたりだけだった。マイケル・ブラッドリーはじめ、それまでチームを支えてきた主軸たちは軒並み構想外となり、ヨーロッパのビッグクラブで台頭しつつある若い世代に席を譲ったのだった。