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5発快勝発進のマンUに漂う“ポジティブな危機感”…約357億円の支援も決定し、9シーズンぶりの覇権奪還は夢物語ではない
posted2021/08/21 17:01
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
心ウキウキの出だしである──。
ブルーノ・フェルナンデスがハットトリックを決め、メイソン・グリーンウッドは類稀なシュートセンスを見せつけた。そしてゴールラッシュをフレッジが締めくくり、マンチェスター・ユナイテッドは難敵リーズに5-1の圧勝。2021-22シーズンの開幕を華々しく飾った。
極めつけはポール・ポグバである。プレミアリーグ最多タイ記録の1試合4アシストだ。長短緩急のパスを自在に操り、ユナイテッドの攻撃を完璧にコントロールしていた。
2列目の左サイドに起用されたポグバが躍動
この日、ポグバは2列目の左サイドに起用された。得意のインサイドハーフではない。しかし、ボールを引きだす動き、瞬時の戦況判断、パスのスピード、角度とも申し分なく、ユナイテッド移籍後6年目でベストといって差し支えない特別なパフォーマンスを披露した。
オーレ・グンナー・スールシャール監督も、しばらくの間はポグバを2列目の左サイドに起用する公算が大きい。ウイングではなく、左サイドを主戦場とするプレーメーカーとして、だ。
B・フェルナンデス、ルーク・ショーと息の合った連携を見せた昨シーズン後半戦を再現するかのように、リーズ戦でも心地よさそうにプレーしていた。「同じ絵を描けるから楽しくて仕方がない」といった風情である。
ポグバの活躍により、左ウイングの一番手とされるマーカス・ラッシュフォードもウカウカできなくなってきた。古傷の左肩を手術したため、戦線復帰は10月下旬を予定しているが、ポジションは約束されていない。
ポグバのほかにもグリーンウッド、新戦力のジェイドン・サンチョが左サイドで対応できるため、ラッシュフォードの優先順位は昨シーズンを下回るかもしれない。もちろん、ラッシュフォードは定位置奪回を求めて切磋琢磨するだろう。
こうして、ユナイテッドに競争意識が芽生えようとしている。
バランの加入でリンデロフが刺激された
昨シーズンはアレックス・テレスの加入により、ショーの尻に火がついた。ノンビリとした性格の彼が、「このままでは試合に出られない」と一念発起。シーズンを通してコンディションを崩さず、首脳陣とサポーターの期待に応えてみせた。
イングランド代表として出場したEURO2020でも、1ゴール・3アシストの大活躍。あのロベルト・カルロスも絶賛していた。
「左サイドバックとしてパーフェクト」