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プロ野球スカウト「このままいけば彼は指名されますよ」甲子園で見ておくべき“7人のピッチャー”《明桜の風間球打だけじゃない》
posted2021/08/20 17:04
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
天候不良で史上最多6度の順延が続いた甲子園(8月19日時点)。
今大会は前評判の高かった小園健太―松川虎生バッテリーの市立和歌山、森木大智の高知高、達孝太の天理高が次々と予選で姿を消し、全国トップクラスの左腕・石田隼都と突き抜けた野球センスの大塚瑠晏遊撃手の東海大相模はコロナのため神奈川大会を辞退した。
それでも、これだけの逸材たちが「甲子園」に会したか……それが今年の正直な印象だ。ネームバリューはそこまでなくとも、高校生離れした実戦力と豊かな将来性を兼備した高校球児たちが何人も挙げられる。
投手と野手、2回に分けてレポートしよう。 まず「投手」からだ(野手編へ)。
風間の魅力は「最速157km」だけではない
小園、森木、達、石田……「夏の甲子園」で見たかった4人の怪腕・剛腕が出ないとなると、この大会の「投」の目玉は、【1】明桜・風間球打(3年・183cm81kg・右投左打)になろうか。
惜しくも雨でノーゲームにはなったが、風間が逸材の片鱗を見せた試合(8月12日)を振り返る。先発の4イニングを投げて帯広農業をノーヒットに抑えた。
コンディションがよくない中、立ち上がりから140キロ後半をたて続けにきめる。時計の文字盤でいえば、「12時」近い真上から投げ下ろす……現場で見ている感覚でいえば、地面に叩きつけるような速球の角度がすばらしい。
帯広農業打線もその辺りは研究している様子で、真上からの低めの速球は捨てて、低めを狙った速球が浮いてベルト付近に来るやつを待ち構えて、パチンと!……そんな狙いで、初回から痛烈なライナーを何本か飛ばす。だが、やはりインパクト負けしているのだろう。内野の頭を越える打球にはならない。
さすが、風間だな……そう思ったのは、2回以降だ。