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吉田輝星のような「1人で投げ抜き甲子園出場」は今や2校だけ… 179球完投の2年生エースと公立校の“宿題”とは〈徳島・阿南光〉
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間淳Jun Aida
photograph byKyodo News
posted2021/08/17 06:00
![吉田輝星のような「1人で投げ抜き甲子園出場」は今や2校だけ… 179球完投の2年生エースと公立校の“宿題”とは〈徳島・阿南光〉<Number Web> photograph by Kyodo News](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/c/f/700/img_cf7a3950841f3e77829a0b9c72a60feb235845.jpg)
阿南光の2年生エース森山暁生は沖縄尚学相手に179球、8失点も投げ切った
実際、阿南光と同じ地方大会4試合を勝ち抜いた米子東は甲子園の初戦で敗れはしたが、投手継投で試合の流れを変えた。
4回までは、この試合の阿南光と同じ0-3。5回からエース舩木佑のバトンを受けた藪本鉄平が4回1失点と好投し、9回にあと1本安打が出ればというところまで、日大山形を追い詰めた。中盤まではワンサイドゲームになり得る試合展開だった。
“定年退職で今年が最後”指揮官の言葉
阿南光の森山は6回に2つの四球とセーフティーバントで満塁とされ、内野ゴロで4点目を奪われた。本来の球威を欠き、7、8回は3本の長打を含む5安打を浴びて2点ずつを失った。最後までマウンドを譲らなかったが、8回8失点。球数は179球に達した。
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チームは徳島大会4試合で3失点と抜群の安定感を見せた森山を中心に、接戦で競り勝ってきた。
準々決勝は2-0。準決勝と決勝は、いずれも1点差だった。
2年生の森山は「1点を争う僅差の展開にできなくて申し訳ないです。3年生と一緒にやる夏は1度しかありませんが、来年こそは甲子園で1勝したい」と責任を背負った。定年退職で今大会が最後の夏となった中山監督は「球数を投げたのも、いい経験になったと思う。2年生の選手も多いので、全国のレベルを知ることができたはず」と期待を寄せた。
1人の投手で地方大会を勝ち抜く希少なチームは、エースが崩れて得意の接戦に持ち込めなかった。
甲子園での1勝を手にするためには森山の成長、さらに森山を脅かす投手の存在が必要だろう。起用できる投手が増えれば、戦略の選択肢が増える。そして、チームの底上げにもなる。初戦で聖地を去った阿南光は宿題を持ち帰った。
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