酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
侍ジャパン“投打で振り払うべき不安”とは? 慣れたハマスタで絶好調オースティン、猛打爆発で4強韓国がライバルに《記録でメダル争い展望》
posted2021/08/02 17:05
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Masaki Fujioka/JMPA
東京オリンピック野球競技、オープニングラウンド6試合をテレビとネットでスコアをつけながら観戦した。好ゲームが多く、予想以上に実力差がないというのが率直な感想だ。以下はAB両組の勝敗と得失点、カッコ内はWBSC(世界野球ソフトボール連盟)の最新のランキングである。
<A組>
日本(1位)/2勝0敗/11得7失
ドミニカ共和国(7位)/1勝1敗/4得4失
メキシコ(5位)/0勝2敗/4得8失
<B組>
アメリカ(4位)/2勝0敗/12得3失
韓国(3位)/1勝1敗/8得9失
イスラエル(24位)/0勝2敗/6得14失
日本以外も接戦の試合が連続している
オープニングラウンドでは5回まで15得点差、7回まで10得点差が付けばコールドゲームとなるが、そうした展開になった試合は1つもなかった(1点差試合が3試合、2点差が1試合、3点差が1試合、7点差が1試合)。
WBSCランキングでは24位と、とびぬけて下のイスラエルでもゲーム2では3位の韓国と10回タイブレークに持ち込む接戦(最終的にはサヨナラ負け)を演じた。
短期の国際大会では、戦力よりも戦術や選手起用などが重要だ、ということを感じさせる。いくつかのポイントで、オープニングラウンドを振り返ろう。
<投手陣が優秀>
日本と韓国を除く4チームは、五輪のために様々なレベル、リーグから選手を招集した。いわば「寄せ集め」だが、優秀な投手が多かった。
特に制球力である。6試合で連続四球を与えたのはゲーム2、韓国vsイスラエル戦でのアレクサンドル・カッツだけ。これは、審判がNPBに比べて少し広めにストライクを取ったことと、SSK製の公式球のグリップが良好で、投手に好評だったことも一因だろう。
投手の球速はそれほど速くはなく、150km/h超の速球を投げる投手は少なかったが、クセの強い変化球を投げる投手が多かった。
日本や韓国は先発・救援タイプに分けて投手を招集していたが、他のチームは「使えそうな投手」を見繕った印象だ。しかし、その中に実績は乏しくても、短いイニングなら通用する投手が何人も見受けられた。鋭く落ちる変化球を投げるイスラエルのワグマン、変化球を低めに制球したドミニカ共和国のアルバレスなど印象的な投手が、特に救援で目立った。