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「僕は若い世代の指導が適している」野球エリート・仁志敏久が挑む、DeNAファーム再構築の方法論とは
posted2021/08/02 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
「選手の力量や性格がわからないところからスタートして、自分がやりたいこと、変えたいことを考えながら行動してきました。まあ、ちょっとやり過ぎたかなと思うこともあれば、もう少し踏み込んでもよかったのではないかと思うところもある、状況を見ることのできた半年間でした」
今シーズンから横浜DeNAベイスターズのファーム監督に就任した仁志敏久は、これまでの日々を振り返った。
常総学院から早稲田大学、そして日本生命とアマ時代はエリートコースを歩み、プロでは巨人で長きに渡り主軸を務め、終盤はベイスターズに所属すると若い選手たちとしのぎを削った。退団後は米独立リーグに挑戦し、さらに2010年に現役引退をするとプロ野球解説者のかたわら筑波大学大学院で体育学を専攻するなど、その野球人としての経験と知識量は誰よりも豊富である。近年はU-12日本代表監督や侍ジャパンのコーチなどを歴任し、満を持してNPBの球団のファーム監督として後進の指導にあたっている。
あえてファームを指導する理由
ただ仁志監督ほどの実績があれば、より実戦的な一軍スタッフとして効果的な仕事もできたはずだが、なぜファームの指導者の道を選んだのだろうか。
「どこの球団もそうですが、プロ野球の世界って完成されているようで未完成な部分もたくさんあるんです。その観点から将来を見据えたとき、ファーム組織はとても重要になります。また自分なりに独学も含め指導者としていろいろなことを学んできて、とくに僕はU-12の指導を長くやってきたので若い世代への指導というか、やりがいを持って得た知識を生かすにはファームのほうが適していると思ったんです」
育成のやり方や組織の再構築など具体的に何をしているのか尋ねたが、時期尚早なのかはっきりと内容を言うことはなかった。ただ、強調していたのは「選手を成長させるための環境の土台作りとプランニング」ということである。万永貴司総合コーチや大村巌打撃コーチといったファーム監督経験者である指導陣が脇を固め、少しずつではあるが仁志監督はDeNA内で手応えを感じているという。