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侍ジャパン初戦のドミニカ戦、“薄氷の勝利”のウラにあったベンチの「2つの判断ミス」とは? 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2021/07/29 12:10

侍ジャパン初戦のドミニカ戦、“薄氷の勝利”のウラにあったベンチの「2つの判断ミス」とは?<Number Web> photograph by Getty Images

チームの指揮をとる稲葉監督(中)と金子ヘッド兼打撃コーチ(左)

 そうした特長も考慮して、代表チームで与えられていた役割は、連戦が続くときの先発か、もしくは先発が早めに崩れた際にマウンドに上がる第2先発のはずだった。それなら試合前から先発と同じ調整をして、同じリズムでマウンドに上がれる。

 この試合でもまず与えられた任務は、その第2先発だったのである。

建山コーチ「青柳には悪いことをした」

 開幕戦の緊張もあり、初回に先発の山本がバタつくと、すぐさま青柳はスタンバイに入っていた。しかし緊張感の解けた山本が2回からは完全に立ち直って快投を見せたことで出番は無くなった。ところが5回になると中継ぎの2番手での登板を告げられ、再び準備を始めることになったのである。

「青柳には悪いことをした」

 試合後にこう語ったのは建山コーチだ。

「7回はどんどん専門のリリーバーに託していくところを、ちょっと僕の中でこだわりが強すぎた。山本から変則に、というところで……。彼に負担をかけてしまったのは反省しなければならない」

 いきなりトップギアで相手を押さえ込んでいくリリーバーには、リリーバーなりの独特のリズムがあり、準備もある。だからこそ今回の五輪でもリリーフの専門職や経験者を揃えて、まず後ろから逆算できる投手陣を作ったはずだった。ところが相手打者のリズムを崩す変則モーションにこだわりすぎて、不慣れな青柳を2番手に指名してしまった。

 そのベンチの判断がピンチを招くことになった訳である。

攻撃での“疑問の判断”とは?

 攻撃でも疑問の判断があった。

 1点差で迎えた8回の攻撃だ。

【次ページ】 一か八かのバクチを打つ必要があったのか

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